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アメリカ大統領選挙
このたびは、(株)ヘクトのファミリーコンピュータ用カセット、『アメリカ大統領選挙』をお買いいただきまして、まことに有難うございます。ご使用の前にこの取扱説明書をよくお読みになって、正しい使用方法でお楽しみください。
<CONTENTS>
これは、あなた自身が大統領候補となってキャンペーン・ゲームをプレイしていく過程で自然にアメリカの政治・社会のしくみが理解されるように監修したゲームソフトです。
高度な知的スリルを味わいながら、アクティブに学ぶことができるでしょう。
伊藤信太郎
<WHAT'S THE GAME / UNITED STATES PRESIDENTIAL RACE>
ニュースシミュレーション「アメリカ大統領選挙」は、どのようなプロセスで進められていくのでしょうか。
アメリカ大統領選挙は、本国の人でも正確に説明できる人は少ないといわれるほど複雑なシステムで、マラソンにたとえられるほどの長い運動期間を経て行われます。
本ゲームは、そのプロセスがだれにでも理解できるよう、なるべく実際の選挙戦のシステムを損なうことなく簡略にして、シミュレーション化したものです。
予備選
まず最初の予備選では、自分を支持する代議員をより多く獲得することが目的です。
プレイヤーは候補者となり、9つの州とスーパーチューズデーの各州(3回に分けて戦います)での合計12回の選挙戦を行い、党大会を目指します。候補者は、各州で打ち出した政策を立会い演説会とテレビCMでアピールし、長い選挙戦を戦い抜くのです。
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12回の選挙戦を勝ちぬいていくのね! |
全国党大会
予備選で、一定の数以上の代議員を多く獲得できれば、この全国党大会に進むことができます。
ここでは、全国の各州から代議員が集まり、それぞれの州での予備選の結果を報告し、候補者別に集計されます。
ここで過半数の代議員を獲得した候補者が党の代表候補となり、本選に進むことができるのです。
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ここで党の代表に選ばれなきゃ本選に進めないのね |
本選
党の代表となった候補者同志の決戦の場が本戦です。
選挙戦の内容は予備選とほぼ同じですが、運動はテレビのCMだけで行われます。
選挙戦が終了すると各州の投票結果が報告され、獲得した大統領選挙人の数の集計が行われます。ここでいよいよ新大統領が誕生するわけです。
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本選はテレビCMの戦いがすべてよ |
大統領就任
本選の集計で大統領選挙人の数の過半数を獲得できた候補者が、新しいアメリカ大統領の座に就くことになります。
本ゲームには、ホワイトハウスをバックにして行われる大統領就任式の、就任宣誓も収められています。
<ゲームのスタート>
コントローラーの操作方法
このゲームは1人プレイだけ、コントローラーⅠを使用します。ゲーム中ほとんどの場合、十字ボタンを使ってコマンドを選んだり、数値を設定し、Aボタンで決定します。
Aボタン |
十字ボタンで選んだコマンドを実行するとき、画面を次に進めるときなどに使います。 |
Bボタン |
政策を選択にもどすときに使います。 |
スタートボタン |
ゲームをスタートするときに使います。 |
セレクトボタン |
使用しません。 |
十字ボタン |
コマンドを選ぶカーソルを動かしたり、数値を設定するときに使います。 |
ゲームスタート
スタートボタンを押すと、下の画面になります。十字ボタンで矢印をニューゲームかコンティニューに合わせ、Aボタンかスタートボタンを押すとゲームがスタートします。
最初からゲームを始めるときはニューゲームを、前回に引き続きプレイするときにはコンティニューを選びます。コンティニューについてくわしくは下記「予備選」の「セーブしておく」をご覧ください。
候補者を選ぶ
次に、ゲームの主人公となる「候補者」を選びます。あなたが、大統領にしたいと思う候補者に十字ボタンを使って矢印を合わせ、Aボタンを押すと決定します。(プロフィールを見る)を選ぶと、6人の候補者のプロフィールを知ることができます。
10人の候補者
大統領候補者は、共和党、民主党各10人登録されていますが、プレイヤーが選べるのは、下記の6人です。
各候補者のくわしいプロフィールは、下記「候補者プロフィール」を参照してください。
スタッフを選ぶ
候補者に次いで、スタッフを選びます。スタッフは、選挙戦の大切な要員であり、候補者との相性が選挙戦に影響を与えることもあります。
選び方は候補者の場合と同様です。
4人のスタッフ
プレイヤーが選ぶことができるスタッフは、下の4人です。
スタッフのくわしいプロフィールは、下記「スタッフプロフィール」を参照してください。
まちがえて選んでしまったときは……
ボタンの押しちがいなどで候補者やスタッフをまちがえて選んでしまい、変更したいときには、下の画像のような、選んだ後の確認画面で矢印を「ノー」に合わせ、Aボタンを押せば、改めて選びなおすことができます。
<党代表候補への道 / 予備選>
いよいよ大統領選挙本選に向けての前哨戦、予備選がスタートする。ここでは同じ党の4人の候補者がライバル。予備選で第1位になって党の代表候補者の座を勝ち取らなければ、本選へと進むことはできない。
選挙戦が開始された!!
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共和党の予備選はミシガン州からだ。 |
この画面でチェックすること
この画面では、その州での戦略に必要な、以下のことをチェックしておきます。①「党員集会」か「予備選挙」か、②「比例代表制」か「勝者独占」か、③州のポイント。
くわしくは以下を、各州のプロフィールは「州のプロフィール」を参照してください。
予備選挙/党員集会
代議員を選ぶ方法には2通りあり、「予備選挙」が党員の投票によって代議員を選出するのに対し、「党員集会」は、各州の党の幹部が会議(コーカス)を開き、その場で代議員を決定します。
本ゲームでは、テレビCMによる選挙運動がある(予備選挙の場合)、なしの違いがあります。
比例代表制/勝者独占
獲得した票数に応じて代議員数を比例配分するのが「比例代表制」で、1票でも多くの票を獲得した候補者が、その州のすべての代議員数を獲得するのが「勝者独占」です。
「勝者独占」の州では、多くの代議員数を一気に獲得できるので、大逆転の可能性があります。
ゾウとロバ
選挙キャンペーンが始まると、アメリカ中に氾濫するのが2大政党のマスコット、ゾウとロバ。
ロバの起源が古く、1870年にT・ナストという漫画家が、民主党を表現するものとして、雌のロバを使った漫画を雑誌に掲載したのがきっかけ。ゾウも、同じナストが1875年に共和党を表現するものとして使ったのがきっかけです。それ以来ロバは州権尊重、進歩主義などを象徴するものとして民主党の、ゾウは知識と感銘に値する力のシンボルとして共和党のマスコットとして使われています。(宇佐美滋著『アメリカ大統領』講談社刊より)
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選挙活動を始める
いよいよ選挙活動――キャンペーンの開始です。Aボタンを押して進めていくと、下のような画面になります。ここで、すぐにその州でアピールする政策を決定してもいいのですが、ここはまず、その州の調査をしておく方が賢明でしょう。
矢印を「調査する」に合わせ、Aボタンを押すと、調査項目を選ぶ画面に変わります。
また、この画面で「そのた」を選ぶと、「選挙運動はしない」という項目も選択できます。
世論調査 その州の支持率を知っておこう
世論調査で知ることができるのは、その州でのそれぞれの候補者の支持率です。選挙活動を始める前に潜在的な支持率を調べておくと、その後の活動の成果を確かめることができます。
なお、世論調査1回ごとに、5万ドルの費用がかかります。
また、政策値を変更するたびに、リアルタイムで支持率も変化します。
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「世論調査」に矢印を合わせ、Aボタンを押す。 |
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候補者別に、支持率が数値と棒グラフで表示 されます。 |
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データの調査 州についてのデータを集める
それぞれの州は、産業や人口構成などで、非常に民意(州民の意見)が異なります。「データの調査」や下記「州のプロフィール」を選挙戦略に役立ててください。
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「データの調査」を選ぶと、さらに、調査の細目 を選ぶことができます。 |
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「州の調査」では、人口、人口構成、産業別構 成、失業率を知ることができます。 |
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州の実情をよく知って、その州にふさわしい政策を打ち出すことが、キャンペーン成功のカギです。
データの調査には、1回2万ドルの費用がかかります。
■そのほかの調査
そのほか、データの調査では、工業生産高順位、農業生産高順位、石油生産高順位、平均賃金を知ることができます。
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工業生産高順位 |
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平均賃金 |
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政策を選ぶ
各州で、キャンペーンでアピールするための政策を、以下の48項目の政策の中から3つ選びます。その州に打ち出すためにふさわしい政策を選ぶのですが、その選び方が、選挙戦の結果を左右する大きなファクターの1つとなります。
政策は大きく6つの「問題」に分かれていて、それぞれの問題には8つの項目があります。
十字ボタンと、Aボタンを使って政策の項目を選択、決定します。Bボタンで、問題の項目を選ぶ画面に戻すことができます。
州それぞれに独自の民意があり、また各候補者は当然政策ポリシーを持っています。合致する政策を選べばキャンペーンはスムーズにいくのですが、相反する政策を選んでアピールすることは、得策ではありません。それぞれの政策についてくわしくは、下記「政策解説」を参照してください。
■環境社会問題
資源開発 大気汚染防止法 移民労働者の規制 エイズ患者の隔離 |
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原子力発電 公民権運動 鉄砲所持の規制 禁煙運動 |
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■防衛問題
国防予算の削減 戦略兵器制限条約 スターウォーズ計画 核兵器製造配備の凍結 |
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軍事力の増強 核実験の禁止 ニカラグア反政府への支援 対ソ防衛力の相互縮小 |
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■経済問題
財政再建のための増税 スペースシャトル計画 社会福祉の充実 農産物の支持価格 |
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農業補助金の削減 財政支出の抑制 消費者保護 コンピュータプログラムの保護 |
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■教育モラル問題
キリスト教的モラルの復活 愛国教育 脳死を認める 人工中絶の禁止 |
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公立学校での礼拝義務 バス強制通学の廃止 ポルノ規制 育児環境の改善 |
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■対日本問題
日本車の輸入規制 農産物輸入自由化要求 関税の引上げ、輸入課徴金 日本資本の進出 |
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日本製品のダンピング制裁 新包括貿易法案 商業捕鯨の禁止 日本の防衛力強化 |
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■外交問題
自動車の輸入規制 イランへの制裁 反共産国家への援助 中国との関係 |
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アパルトヘイトへの制裁 ココム規制 パナマ運河返還 石油輸入税 |
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政策値を設定する
政策を選んだら、候補者のその政策に対しての考え方を表わすために、それぞれの政策について政策値を設定します。
設定には、下の画像中央のようにバランススケールを使います。政党のマスコットをスケールの左に合わせるほど、その政策に積極的であるということを示します。
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政策値は、各政党のマスコット(ゾウとロバ)を十字 ボタンで左右に移動させ、Aボタンで決定します。 |
■政策値を決めるポイント
政策値の設定は、選挙戦の展開にとって、大変重要なファクターになります。
自分の政策ポリシーと民意が同じで、その値通りに設定することができれば最高、支持率は上がりますが、ズレが大きければ支持率は下がります。自分のポリシーを忘れて民意に合わせても、逆に民意を無視して自分のポリシーを貫いても、大きなダメージとなります。
以上を3回繰り返し(つまり3つの政策それぞれに政策値を設定することになります)、政策の設定が終了します。
再び世論調査 3つの政策値が決まったら選択が正しかったかどうか支持率の変化で確認しよう。
政策の設定が終わったら、もう1度世論調査をしてみて、支持率がどう変化したかを確かめておくことが必要です。
支持率が下がっているときは……
政策の設定に問題があったようです。「変更する」を選び、政策、または政策値を修正しましょう。
支持率が上がっているときは……
政策の設定は正しかったようです。「選挙運動の内容を決定」します。
世論調査と当選者予測 各メディアの腕の見せどころ
選挙戦の序盤戦から本選の終了まで、テレビ、新聞などのマスメディアでは、独自の世論調査による当選者の予測を盛んに行います。特にテレビの3大ネットワークによる投票日当日の勝者予測は、局の威信をかけて行われるため、毎回競って早い時期に発表され、その後の投票に影響を与えるという弊害まで生じてきています。 |
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選挙運動を開始する
運動内容を決める
政策の設定が終わると下のような、画面になります。ここで、上記のように支持率を確認したら、「選挙運動の内容を決定」を選びます。
運演説会の回数を決める
1つの州の選挙運動の期間は9日間です。ここでは、この間に開く演説会の合計の回数を決めます。
十字ボタンの左右を使って回数を設定し、Aボタンで決定します。99回(1日につき11回)まで設定ができます。
また、演説会1回につき2万ドルの個人献金を得ることができ、回数が多いほど支持率のアップにもつながりますが、それだけ体力を消耗することも考慮する必要があります。なお、支持率のアップには、候補者個人のカリスマ性も影響します。
■選挙運動をしないことも……
回数の設定を0にすることもでき、体力の回復には有効ですが、党員集会の州の場合は選挙運動をしないことになり、代議員は1人も獲得できません。予備選挙の州でもテレビCMだけの運動になり、苦戦を強いられることになります。
テレビコマーシャルの予算を決める
予備選挙を行う州では、選挙運動にテレビCMを利用することができます。手持ちの資金の範囲内で、テレビ局(3大ネットワーク)に予算の配分を行います。
十字ボタンの上下でテレビ局を選び、左右で予算を設定します。すべての局について設定が終わったら、Aボタンで決定します。設定した予算は、9日間に均等に(端数は最終日に)使われます。
■予算配分の作戦
州によりネットワークの視聴率が異なっているので、予算の配分を考慮することで、支持率アップが可能です。これは、支持率の変化に気をつけていると見抜くことができます。
現代の大統領選とテレビ
現代のアメリカ大統領選の選挙運動で、最も大きな役割を果たしているのがテレビでしょう。
アメリカらしいのは、相手候補の批判や中傷をテレビCMにして流す、ネガティブ・キャンペーンという選挙戦略が、大変有効な武器になっているということです。 |
選挙運動第1日目スタート!!
選挙運動の内容が決まったらいよいよ運動を始めます。下の画面で「選挙運動をはじめる」を選んで、Aボタンでスタート。ここでは、世論調査や運動の内容、政策値の変更もできます。
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候補者の第一声、有権者に最もアピールしたい ポリシーを打ち出す。 |
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がんばろーねっ!! |
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選画面右上の表示
選挙キャンペーン期間中は画面の右上に、下の画像のような表示が出ます。表示される情報の内容は次のとおりです。
① |
ゲンキマーク。候補者の体力の状態を示しています。疲れてくると表情が変化します。 |
② |
その州での選挙運動期間の残りの日数。 |
③ |
手持ち資金。 |
④ |
総支出額。支出があるたびに加算されていきます。 |
2日目以降
2日目以降は、Aボタンを押し続ければ、そのまま次の日に進んでいくことはできますが、多数の代議員を獲得するためには支持率の動きを随時チェックする必要があります。
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矢印を「選挙運動をつづける」に合わせてAボタ ンを押せば、次の日に進みます。 |
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2日目以降も、世論調査で有権者の支持の動 向を調べる必要があります。 |
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支持率が上がらないときは……
■政策値を見直す
原因が、政策値の設定にある可能性があります。
運動が始まったら政策の変更はできませんが、政策値は変えることができます。
■運動の内容を見直す
選挙運動が十分でない可能性もあります。
演説会の回数やテレビCMの予算を、体力や手持ち資金を考えながらプラスすることもできます。
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突然何かが起きる… HAPPENING!
運動期間中に突然飛び込む、突発事件や献金の申し出にも、臨機応変に対処することが必要です。
事件が起きた!!
運動期間中に、突然ニュースが入り、大事件が報道されることがあります。有権者の民意というのは、事件に影響を受けやすいものです。政策値を調整する必要も出てくるでしょう。
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CMMニュースで、大事件が起きたことが報道 される。 |
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世論調査の支持率を見て、必要があれば、政 策値を変更します。 |
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団体による献金の申し出が…
また、いろいろな団体から献金の申し込みがあります。政策についての申し出を受け入れることを条件に、献金をしようというものです。受け入れるときは、政策値を調整します。
ゲームオーバー
選挙戦を断念せざるを得ない――ゲームオーバーになるのは、次の3つのケースです。
■獲得した代議員の数が伸びない…
獲得代議員の数が第1位にならなければ、当然本選には進めませんが、予備選の最中でも獲得数が伸びなければ、先の州に進むことができなくなることもあります。
予備選の序盤でも、2州続けて15パーセント以上の代議員数を獲得できなければ、政府からの資金援助を打ち切られてしまうために、選挙活動は終わってしまいます。
■体力の限界を超えてしまうと…
体力の消耗が限界を超えてしまっても、選挙戦からリタイアしなければなりません。でも、ゲンキマークの変化にさえ気を配っていれば大丈夫です。
演説会の回数に比例して体力は消耗します。体力は、1回の選挙戦が終わるごとにある程度回復するのですが、その度合いは、候補者の年齢やスタッフとの相性によって個人差があります。
■支出限度額を超えてしまうと…
予備選での支出限度額は、2700万ドルです。この額を超えて予算を使ってしまったときには、選挙資金規制法に違反したことになり、やはり選挙を続けることができなくなります。
これに気を配らなければならないのは、予備選の終盤だけですが、ピッタリにしようとすると、意外なところでオーバーすることがあります。
■その結果…
以上のようなケースになると、いずれもゲームオーバーになります。リセットボタンを押して、再度チャレンジしてください。前の州で「セーブ」してあれば、その州から始めることができます。
大統領選の資金
広大な国土で長期間にわたって行なわれる選挙戦には、当然大変莫大な費用がかかります。特に近年は、前述のような理由で、テレビのコマーシャルの費用が莫大なものになってきています。1980年の選挙ではマスコミのメディアに対してだけでも、カーター大統領が2000万ドル、レーガン候補が1700万ドル使ったといわれています。
金権選挙の弊害が目立つようになって、現在は公的な資金を中心にした選挙へと改革が進んでいます。 |
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予備選の集計が発表される
9日間の選挙キャンペーンが終了すると、CMMニュースで、その州での獲得代議員の数が発表されます。
スーパーチューズデーでは、南部、東部、西部の3回に分けてキャンペーンを行ないますが、集計の発表は3回が終了してからです。
収支報告
開票結果に次いで、その州での収支が報告されます。単位は、万ドルです。
■収入となるのは…
収入となるのは、個人献金、団体献金、政府援助です。演説会を開くと1回につき2万ドルの個人献金が得られます。それと同額の政府援助もあります。団体の献金が得られたかどうかの結果はここで知ることができます。
■支出となるのは…
支出となるのは、世論調査、データの調査、テレビCMの費用です。世論調査は1回5万ドル、データの調査は2万ドルです。この収支報告には出ませんが、直接プレイヤーが運動をしなかった州でも、選挙費用として20万ドルの支出をしています。
その他の州の集計
収支報告の次に、CMMニュースで、直接プレイヤーが選挙キャンペーンをしなかった州の選挙結果の報告が行なわれます。
そして、次の州へ
以上で、最初の州でのキャンペーンがすべて終わったことになります。次の州でも、同じプロセスをくり返します。また、がんばりましょう。
セーブしておく
次の州が始まる前に、下の画面が出ます。「イエス」を選んで、セーブしておけば、次の州でゲームオーバーになってしまっても、メモリーバックアップ機能により、再びその州からプレイを始めることができます。
スーパーチューズデー
1988年の大統領選では、3月8日の火曜日に全米50州のうちの民主党20州、共和党16州で予備選挙、党員集会が行なわれました。この結果が、その後の選挙戦に大きな影響を与えるため、この日がスーパーチューズデーと名付けられたのです。実際、この日1位になったブッシュ候補、デュカキス候補とも党の代表候補になりました。 |
<NATIONAL CONVENTION / 全国党大会>
予備選がすべて終了したら、全国党大会が始まる。各州の代議員数の集計が行なわれ、第1位になった候補者が、党の大統領候補に指名されるのだ。
代議員数の集計が行なわれる
党大会では、アルファベット順に各州の代議員の数が発表されます。Aボタンで次の州に進みます。
党の代表候補に指名される
集計の結果、過半数の代議員の数を獲得した候補者が、党を代表する大統領候補者として指名されます。
決戦投票
すべての州の代議員数が発表されても、どの候補者も過半数を獲得できないときは、上位2名の候補者の間で、決選投票が行なわれます。
副大統領候補者を指名する
指名を受けた大統領候補者は、予備選を戦ったライバルの4人の中から1人を、副大統領候補者としてを指名します。副大統領候補者により、支持率が変わります。
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相性を考えて選んでね |
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本選へと進む
副大統領候補者の指名が終わると、指名受諾演説を行なった後、いよいよ大統領本選のキャンペーンへと進みます。
<大統領選挙一般投票 / 本選>
ついに決戦のときを迎えた。広大なアメリカ合衆国全土でキャンペーンを繰り広げるのだ。
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本選は各州で、勝者独占方式で集計が行なわ れます。 |
決戦のときを迎えた!!
いよいよ大統領選本選の開始です。本選は、共和党と民主党の正副大統領コンビ(チケットといいます)の決戦で、一般の有権者は大統領選挙人に投票する、間接選挙です。
本選で対戦するのは、プレイヤーが共和党の候補者を選んでいる場合は、民主党がデカキス、ザクソンのチケット、プレイヤーが民主党の場合は、共和党はプッシュ、サッシャーのチケットが選択されています。
本選での選挙戦略
やはり支持率の調査から
本ゲームの場合は、本選も、ほぼ予備選と同じシステムで行ないます。したがって、政策設定の前には、世論調査で支持率を知っておきましょう。
政策の決定
予備選と同様に3つの政策を選び、政策値を設定します。政策を選ぶときは、全国的な視野に立つことが必要です。
また、一騎打ちなので、自分にとっては有利で、相手には不利な政策を見つけることが必勝のポイントです。
テレビコマーシャルで選挙戦は行なわれる
選挙運動がテレビCMだけで行なわれる点が予備選とは大きく異なります。
テレビ局への予算の配分が、当選への大変大きなファクターになります。候補者が弱い地域で高視聴率の局に、配分を多くした方が有利になります。予備選の間に各局の高視聴率地域をつかんでおけば、ここで強みを出せるわけです。
全国遊説へと出発!!
政策の設定とテレビCMの予算配分が終わったら、再び世論調査で支持率を確かめましょう。上向きになるまで、手直しをし、上昇していることが確認できたら、全国への遊説に出発です。
新大統領決定!!
投票――そして発表
本選の投票は11月上旬に行なわれます。集計は州ごとの勝者独占方式で、投票結果は東海岸から1州ずつ発表されていきます。そして、獲得した選挙人の数が過半数の270を越えた瞬間に、事実上アメリカの新大統領が誕生したことになるのです。
就任宣誓式
実際の大統領選では、翌年の1月に就任式が行なわれますが、本ゲームでもプレイヤーが大統領になったときに、ホワイトハウスの前で宣誓が行なわれます。宣誓の日本語約は次の通り。「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽くして、合衆国憲法を保全し、保護し、擁護することを厳粛に誓約する」。
ついに大統領に
難関を突破して、最初に選んだ候補者を大統領にすることができたら、他の候補者でもチャレンジしてみましょう。候補者によって、資金力や年齢、カリスマ性など、有利、不利はありますが、だれもが大統領になる可能性を持っています。
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やったね♥
…こんどは別の候補者でもチャレンジしてみてね!! |
<資料編 /大統領への道>
世界に影響力を持つ巨大国家でありながら、往年の映画俳優が最高の権力を持つ国家元首になることができる国アメリカ。この国でよく語られるサクセスストーリーの頂点ともいえるアメリカ大統領には、どんな人物がどのようなプロセスを経て選ばれるのだろうか。
アメリカ大統領の権力
アメリカ大統領は、主なものだけでも次のような権限を持っている。行政府の長として、行政各部の監督、指揮権、命令権など、官吏と裁判官の任命権、恩赦権、議会に対する拒否権など。そのほか、陸・空・海軍の総指揮官でもある。
立候補資格
大統領になる資格については憲法によって、「出生による米国市民もしくはこの憲法採択のときに米国市民であるもの以外、年齢35歳に達しないもの、合衆国住民となって14年にならないものは、大統領となることはできない。」とされている。
選挙の翌年の1月20日に、ワシントンの国会議事堂前で行なわれる就任式の就任の宣誓をもって、新大統領が正式に誕生したことになる。 |
大統領選挙のプロセス
1) |
各候補者が出馬表明をし、選挙活動を始める。 |
2) |
全国各州で政党別に予備選挙・党員集会を行ない、候補者を絞る。 |
3) |
各党で全国党大会を行ない、党代表の正副大統領候補者を指名する。 |
4) |
正副大統領候補者による選挙キャンペーンを行なう。 |
5) |
有権者による、州別の大統領選挙人選出。事実上の大統領選出のための直接投票。 |
6) |
大統領選挙人による投票を行なう。 |
7) |
新大統領誕生。 |
選挙戦のポイント
① |
予備選挙・党員集会
共和、民主の2大政党の内部で、大統領本選に送る党代表の候補者を選ぶための選挙。各州で党員による直接投票によって全国党大会に送る代議員を選ぶのが予備選挙(プライマリー)。市町村や州の党大会で選ぶのが党員集会(コーカス)。(なお本取扱説明書では、双方を総称して「予備選」としています。)
選挙戦開始当時は、多数の候補者が名乗りを上げているが、長い予備選の期間中に次々と脱落し、全国党大会の頃には、2、3名に絞られていく。
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② |
全国党大会
民主党は大統領選挙の年の7月、共和党は8月に行ない、各州で選出された代議員の過半数の支持を得られた候補者が党の大統領候補に指名される。また、その後副大統領候補(ランニングメイトといわれる)も指名される。(なお本書では、略して「党大会」としています。)
全国の代議員が一同に会し開かれる、全国党大会。派手なお祭り騒ぎがいかにもアメリカらしい。 |
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③ |
本選(大統領選挙人選挙)
11月第1月曜日の次の火曜日('88年は11月8日)に、一般の有権者によって行なわれ、大統領選挙人を選ぶ間接選挙だが、大統領選挙人は各政党によって選ばれていて、この結果が覆ることは考えられないので、事実上の直接選挙といわれている。集計は州ごとの勝者独占(ウイナー テーク オール)方式で行なわれる。
12月に、大統領選挙人による投票が行なわれ、翌年1月6日に開票され、正式に新大統領が決定することになっている。
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<大統領候補者/スタッフ プロフィール>
プレイヤーは、自分が選んだ候補者の政治姿勢、理念を十分に把握しておくことが、大統領への最短の道です。
ただし、体力、資金力、カリスマ性、政策の普遍性などの候補者の固有の資質があるので、各候補者を当選させる難易度は異なっています。
<CONTENTS>
●候補者とスタッフの相性について…
長期間の選挙キャンペーンを候補者と共に闘うスタッフは、選挙参謀として重要な役割を果たします。性格による候補者との相性の善し悪しがあり、選挙戦に影響を及ぼすこともあります。 |
<候補者プロフィール>
共和党の候補
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[プロフィール]
年齢 : 64歳
選出州 : テキサス
血液型 : A型
現職 : 副大統領
政治理念 : 中道
資金力 : 十分にある
体力 : やや劣る
その他 : WASP
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[政策ポリシー]
現政権で、副大統領を2期(8年)務めてきたのが大きな特徴で、基本的には、現大統領の政策ポリシーを受け継いでいる。性格的に、あまり偏った考え方を出さないタイプなので、政策方針も中庸のものが多い。
特に積極的な政策は、中米への影響力の行使としてのニカラグア反政府勢力への支援やイランへの制裁など、軍事的には一般に積極的な方であるが、現政権の進めているソビエトとの軍縮には消極的ではない。中国とも友好関係を維持したい考え。その他財政支出の抑制、コンピュータプログラムの保護などにも積極的。
対日圧力など、自らの自由貿易主義に反するものには非常に消極的。教育、社会モラル、福祉的な問題に対しては、かなり保守的な方だ。支出を抑えようとしているが、増税には反対だ。 |
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[プロフィール]
年齢 : 62歳
選出州 : ミシガン
血液型 : O型
現職 : 上院議員
政治理念 : 保守
資金力 : やや劣る
体力 : 平均
その他 : アイルランド系
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[政策ポリシー]
アメリカ大統領史上唯一の女性候補。保守的で反共的。鉄の女といわれる、気の強い性格だ。
対外的にかなり強い意見の持ち主で、移民労働者の規制、イラン制裁、ココム規制などに表われている。特に対日超強硬派として知られ、日本にとってはあらゆる面で脅威の存在。軍備拡張にはきわめて積極的で、ソビエトとの相互軍縮にも反対の立場。ただし、中米に対しては穏健だが、パナマ運河の返還には消極的。中国との友好関係は維持したい考え。社会秩序を維持するための、エイズ患者の隔離、禁煙運動、保守的な教育などのほか、エネルギー、資源開発にも積極的。
人権に対しての意識は低い。軍事関係を除き、財政支出を抑えようとしているが、増税には消極的。農業に対しては、あまり力を入れていない。 |
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[プロフィール]
年齢 : 59歳
選出州 : バージニア
血液型 : AB型
現職 : テレビ伝道師
政治理念 : ウルトラ
資金力 : あまり十分ではない
体力 : やや優れている
その他 : ニューライト
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[政策ポリシー]
政治的には未知数だが、長い期間にわたって続けているテレビ伝道師のキャリアによって、大衆を引きつける魅力を持っている。自分のポリシーを明確に打ち出すタイプで、政策についても、賛成反対がはっきり色分けされている。超保守派で反共主義者である。
特に積極的な政策は、キリスト教の教義に基づく、教育モラルに関しての問題。対日的には、かなり強硬な意見を持っている。軍事力の増強の必要性を力説して、ソビエトとの軍縮には強く反対している。核、スターウォーズ計画、スペースシャトルなど新しい科学の分野の利用にも積極的な姿勢を持っている。
社会福祉、農業や消費者の保護、育児環境の改善には消極的な意見を持つ。外交面では、パナマ運河の返還、中国など共産圏との関係促進にも反対だ。 |
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共和党のその他の候補
以下の候補者は、プレイヤーが選択することはできません。
【ダール】 |
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[プロフィール/政策ポリシー]
年齢65歳。カンサス州選出。血液型O型。WASP。
現在の大統領政権の中にあって上院の院内総務を務めている。穏健的な保守派であるが、人間的な魅力に乏しい。1976年には副大統領候補となったが民主党候補に敗れたという経歴も持っている。
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【サンダーソン】 |
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[プロフィール/政策ポリシー]
年齢55歳。ペンシルバニア州選出。血液型B型。
現在下院議員。共和党内では希な、平和外交をポリシーとし、親日家としても知られる存在。ただ、まだキャリアや資金力の点で他の候補に遅れをとっている。この次の大統領選の有力候補といわれる。
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民主党の候補
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[プロフィール]
年齢 : 55歳
選出州 : マサチューセッツ
血液型 : O型
現職 : 州知事
政治理念 : 中道
資金力 : 十分にある
体力 : やや劣る
その他 : ギリシャ系
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[政策ポリシー]
民主党の候補の中で、最も大統領に近い位置にいるといわれているが、地味な性格のため、民衆を引き付ける力がもう一つだ。政策的にも極端な考え方はなく、現実的だ。どちらかといえば、経済に強く外交に弱い。
保護貿易主義的な考えを持っているので、対日的には、強硬な姿勢だ。東側諸国との関係の改善も積極的であり、現政権の進めているソビエトとの軍縮には賛成している。中国とも友好関係を維持したい考え。
財政再建のためには、増税も辞さないつもりだが、国防予算の削減に最も力を入れている。また、農業の保護は抑えようとしている。その他、スターウォーズ計画やスペースシャトルなどの宇宙開発にも消極的だ。
人権問題に関しては、リベラルに近い。教育や社会環境の面でも、自由を認める傾向にある。
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[プロフィール]
年齢 : 47歳
選出州 : イリノイ
血液型 : B型
現職 : 牧師
政治理念 : リベラル
資金力 : 劣る
体力 : 大変優れている
その他 : 黒人有力候補 / カリスマ性大
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[政策ポリシー]
黒人初の大統領になる可能性を持つ候補。人権擁護を貫くポリシーに対して、白人の支持も得られている。
人権や社会福祉、庶民の保護に関わる政策には、はっきりと積極的な態度を示している。教育についても、キリスト教の教義を超え、リベラルな姿勢を貫く。エイズ患者の隔離や人工中絶の禁止、禁煙運動には反対。また、環境の保護や改善にも積極的で、原子力発電や資源開発、宇宙開発にも反対している。
また、どの候補よりも軍縮に対し熱心だ。外交的には穏健派で、東側諸国を敵視することはなく、中国との関係も推進しようとしている。ただし、人権上の見地から、アパルトヘイトを行なっている国には、制裁を加えようとしている。貿易については、保護主義的な考え方。日本に対しても厳しい。 |
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[プロフィール]
年齢 : 51歳
選出州 : カリフォルニア
血液型 : A型
現職 : 上院議員
政治理念 :保守
資金力 : やや劣る
体力 : やや劣る
その他 : 日系農業議員
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[政策ポリシー]
大統領選史上初の日系候補。民主党にあっては、きわめて保守的。そのため、外交や軍備面の考え方では、共和党に近く、反共色も強い。教育に関しても保守的なカラーがでている。
経済面では、カリフォルニアの農園出身のため、農家の意見を代表する立場で、農業保護政策を掲げている。財政再建のために各種の増税を考えている。また日系議員のせいか、日本に対しては、農産物関連の項目以外はきわめて緩やかな対応を考えている。
その他積極的なものは、移民労働者の規制、エイズ患者の隔離、ポルノの規制、人工中絶の禁止など。
環境に関しては、重要視しない方で、禁煙運動には反対し、大気汚染防止法にも消極的だ。原子力の利用や核配備にも肯定的である。 |
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民主党のその他の候補
以下の候補者は、プレイヤーが選択することはできません。
【レーダー】 |
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[プロフィール/政策ポリシー]
年齢42歳。コロラド州選出。血液型AB型。
反核、自然保護などを掲げ、かなりラディカルな行動をとる活動家。若い層を中心に、熱心な信奉者がいるが、予備選を闘い抜いて、党代表の指名を受けるほどの大衆的な支持を得られるかは疑問。
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【コア】 |
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[プロフィール/政策ポリシー]
年齢39歳。テネシー州選出。血液型O型。
現在上院議員。若い候補だが、父親の後を継ぐ2世議員なので確実な支持を得ている。中道で穏健派。また、軍縮の権威としても知られ、外交面にも強い一面を持つ。次期大統領選の最有力候補。
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<スタッフプロフィール>
【アラン】 |
年齢28歳。血液型AB型。冷静な判断力が自慢。広告エージェンシーに勤務時代、マーケティング調査を専門としていた。その経験を生かし、世論の動向に鋭い分析を示す。 |
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【スコット】 |
年齢40歳。血液型O型。国務省に勤務していた関係で、政財界に強力なコネクションを持っている。自ら国会議員として政界入りを目指しているが、もちろん参謀としても有能だ。 |
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【ペネロープ】 |
年齢26歳。血液型A型。気が強く負けず嫌い。テレビ局の特派員をしていた。外交官の父親を持ち、フランス、イタリアなどで育ったので、5ヶ国語に堪能。自らも外交官を目指している。 |
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【バージル】 |
年齢34歳。血液型B型。人気ニュースキャスターの座を降り、政界入りを目指す。あらゆる情報に詳しい。分析にも冴えを見せる。大統領補佐官、報道官志望。 |
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<予備選に登場する 州のプロフィール>
それぞれの州には産業や人種構成によって、特有な民意(住民の意識)があります。キャンペーンでは、その民意に沿った政策をアピールしない限り高い支持は得られません。ただ、候補者自身のポリシーに背いてまで州民の意見に合わせようとすると、かえってマイナスの結果になることに注意が必要です。
<CONTENTS>
【ミシガン州】
▼ プロフィール
共和党 : 1/29、党員集会、比例代表制、代議員数77人
民主党 : 3/26、党員集会、比例代表制、代議員数151人
《人口》 908万人
《面積》 14.8万km2
《州都》 ランシング
《人口構成》 白人84.9%、黒人12.9%、その他2.2%
《産業別構成》 農業1.6%、工業34.1%、流通26.0%、金融・サービス業24.0%、公務員14.1%
《失業率》 1985年 9.9%、1986年 7.9%、1987年 8.3%
▼ 民意
ミシガン州は、デトロイトを中心とした工業州。全国一の自動車はもとより軍需関連の産業も多い。そのため、環境を守るよりは産業を優先させる傾向がある。スペースシャトル計画など宇宙開発には肯定的だが、核兵器には警戒心を持っている。また、ソビエトとの軍縮にも賛同するなど、外交面でリベラルな意識を持つ。中国との関係を強くすることにも好意的で、ココム規制も輸出促進の立場も含め不要なものと思っている。
日本に対しては、自動車輸入規制を始め、あらゆる面において全米の中でも最も厳しい感情を持ち、日本の資本の進出も歓迎しない。
社会的にもリベラルな傾向があり、福祉や消費者保護、人権に関してに関心が高く、アパルトヘイトに対する制裁、鉄砲の所持規制、育児環境の改善に賛同する人が多い。
【アイオワ州】
▼ プロフィール
共和党 : 2/8、党員集会、比例代表制、代議員数37人
民主党 : 2/8、党員集会、比例代表制、代議員数58人
《人口》 288万人
《面積》 14.5万km2
《州都》 デモイン
《人口構成》 白人97.4%、黒人1.4%、その他1.2%
《産業別構成》 農業8.9%、工業23.9%、流通27.4%、金融・サービス業22.9%、公務員16.6%
《失業率》 1985年 8.0%、1986年 6.4%、1987年 4.6%
▼ 民意
全米一の農業州ということもあり、農業を保護する政策には、他のどの州よりも関心が高い。したがって、農業補助金の削減には強く反対し、農産物の支持価格には積極的に賛成している。外交関連も、農産物の貿易については、強い意見を持っている。
その分、他の産業に対しては関心が低いので、日本や諸外国に対しての自動車の輸入規制、ダンピング制裁、包括貿易法案、関税の引上げ、輸入課徴金などについて、他のほとんどの州と異なった考え方をしている。また、軍事関連の支出の増加にも消極的で、日本に対しても防衛力の増強は望んでいない。スペースシャトル計画にも反対している。
保守的な風土であるので、反共国家への援助、イランへの制裁、エイズ患者の隔離、ポルノ規制、人工中絶の禁止などを支持し、公民権運動、消費者保護、社会福祉などには関心が薄く、禁煙運動、鉄砲所持の規制などには否定的。
【ニューハンプシャー州】
▼ プロフィール
共和党 : 2/16、予備選挙、比例代表制、代議員数23人
民主党 : 2/16、予備選挙、比例代表制、代議員数22人
《人口》 99万人
《面積》 2.3万km2
《州都》 コンコード
《人口構成》 白人98.8%、黒人0.4%、その他0.8%
《産業別構成》 農業0.6%、工業38.9%、流通24.9%、金融・サービス業22.8%、公務員12.5%
《失業率》 1985年 3.9%、1986年 2.5%、1987年 2.1%
▼ 民意
東部のこの州は、さほど豊かではないし代議員も少ないが、毎回大統領選の際には全米の注目を浴びる。それは、全米の予備選挙の皮切りとして両党揃って行なわれるのと、ここで勝った候補者が本選挙でも勝つとのジンクスがあるためだ。
産業も林業などのほかは、あまり見るべきものはない。州民の意識は、東部にあっては、どちらかといえば保守的。防衛面では、国防予算の増額による軍備の増強は望んでいないが、対外的な核兵器などの制限については、賛同していない。
政府に対しては、支出削減を強く望んでおり、支出の多い農業補助金やスペースシャトルには、反対。社会福祉や消費者保護にも予算を減らしてもいいと思っている。
教育問題にも、東部らしくなく、保守的な一面を持っている。
外交面でも保守的な面を見せているが、例外的にアパルトヘイトの制裁や、中国との関係促進には賛成している。
【イリノイ州】
▼ プロフィール
共和党 : 3/15、予備選挙、勝者独占、代議員数92人
民主党 : 3/15、予備選挙、勝者独占、代議員数187人
《人口》 1153万人
《面積》 14.4万km2
《州都》 スプリングフィールド
《人口構成》 白人80.7%、黒人14.6%、その他4.7%
《産業別構成》 農業1.7%、工業27.8%、流通28.1%、金融・サービス業28.3%、公務員13.8%
《失業率》 1985年 9.0%、1986年 7.9%、1987年 6.8%
▼ 民意
この州最大の都市シカゴの黒人の人口比が40パーセントという、全米でも特に黒人の多く住む州だ。そのため、公民権運動などの人権問題を始め、一般にリベラルな考え方が中心となっている。犯罪が多いせいか鉄砲の所持規制には賛同者が多い。禁煙運動にも積極的だ。
産業は、工業が中心なので、軍事力の増強やスターウォーズ計画には積極的な方。核実験についても反対はしていない。ただし、ソビエトなどとの間の軍縮には賛成している。農業に従事する人も多く、農業保護政策を求める声もある。
社会福祉、コンピュータプログラムの保護、消費者保護などにも関心が高い。教育面でもリベラル派だ。
日本に対しては厳しい方、資本の進出も望まない。保護主義的な側面も見せる。中国との関係は前向き、ニカラグア反政府勢力や反共産国家への援助は反対。
【コロラド州】
▼ プロフィール
共和党 : 4/4、党員集会、比例代表制、代議員数36人
民主党 : 4/4、党員集会、比例代表制、代議員数51人
《人口》 323万人
《面積》 26.8万km2
《州都》 デンバー
《人口構成》 白人88.9%、黒人3.5%、その他7.6%
《産業別構成》 農業1.8%、工業22.3%、流通30.5%、金融・サービス業28.8%、公務員16.4%
《失業率》 1985年 5.9%、1986年 7.1%、1987年 6.4%
▼ 民意
ロッキー山脈の東側の美しい高原に広がるコロラド州は、そのために住人に自然を守ろうという意識が強く、環境保護運動が盛んだ。したがって、大気汚染防止法、禁煙運動には積極的な賛同をし、資源の開発、原子力発電には反対をしている。
国防費の削減や軍縮には、全米でも特に強い賛意を示し、スターウォーズ計画にも反対している。ただしスペースシャトル計画には賛成。財政再建のためなら増税も仕方がないと考える唯一の州だ。農業も盛んだが、農家の保護のための予算は、必要ないと考えている人が多い。社会福祉の充実には期待し、コンピュータプログラムの保護にも賛同者が多い。
教育については、自由主義、社会的モラルについては、保守的な面がある。日本については、アメリカの平均的な考え方。日本の資本の進出は歓迎する。国際問題や社会問題には、リベラルな傾向があり、アパルトヘイトの制裁に対しても強く賛成している。
【ニューヨーク州】
▼ プロフィール
共和党 : 4/19、党員集会、勝者独占、代議員数136人
民主党 : 4/19、党員集会、比例代表制、代議員数275人
《人口》 1778万人
《面積》 12.3万km2
《州都》 オールバニ
《人口構成》 白人79.5%、黒人13.6%、その他6.9%
《産業別構成》 農業0.5%、工業23.0%、流通25.0%、金融・サービス業32.7%、公務員18.5%
《失業率》 1985年 6.6%、1986年 5.9%、1987年 4.3%
▼ 民意
世界の経済の中心地、人種構成も複雑でユダヤ系市民が多いのが特徴だ。黒人やヒスパニック系(プエルトリコや中南米からの移住者)の割合も多い。当然、アメリカで最もリベラルな考え方の住民が多い。自然や社会の環境を守る意識も強く、大気汚染防止法、禁煙運動、核実験の禁止、育児環境の改善などに賛意を示し、原子力発電、軍事力の増強などには反対している。また人権問題に関して、公民権運動やアパルトヘイトの制裁、社会福祉の充実などについても関心が高い。
軍縮にも強い賛同を示し、教育やモラルの問題、国際的な問題も自由主義的な考え方が基本になっている。経済問題は、増税には反対するが、財政支出の抑制は必要ないと考えている。農業保護政策には反対、対日的には、極端な意見を持っていない。ココム規制や石油輸入税に反対で、保護主義色の強い意見もない。
【ペンシルバニア州】
▼ プロフィール
共和党 : 4/26、予備選挙、勝者独占、代議員数96人
民主党 : 4/26、予備選挙、勝者独占、代議員数193人
《人口》 1185万人
《面積》 11.6万km2
《州都》 ハリスバーグ
《人口構成》 白人89.7%、黒人8.8%、その他1.5%
《産業別構成》 農業1.1%、工業30.7%、流通26.5%、金融・サービス業28.4%、公務員12.9%
《失業率》 1985年 8.0%、1986年 6.3%、1987年 5.2%
▼ 民意
アメリカ独立の舞台となったフィラデルフィアがあるペンシルバニアは、位置的に南部と北部の中間にあり、民意にも、リベラルな部分と保守的な部分が微妙に表われている。産業は工業が中心だが、環境の保全には関心が高い。原子力発電所の事故が起きたスリーマイル島がこの州にあるせいもあって、原子力発電には強く反対し、大気汚染防止法、鉄砲所持の規制、禁煙運動、育児環境の改善には賛成している。また、産業重視の考え方で、軍事力の増強には賛成だが、軍縮に賛成し、核実験には反対している。農業保護政策にも反対、コンピュータプログラムの保護には賛成だ。
教育モラルに関して保守的な面も見せ、キリスト教的モラルの復活、公立学校での礼拝義務、バス強制通学の廃止には賛成している。
日本に対しては、保護主義色の強い部分を除き全般に厳しい考え方。外交についてはリベラル派だ。
【オハイオ州】
▼ プロフィール
共和党 : 5/3、予備選挙、勝者独占、代議員数88人
民主党 : 5/3、予備選挙、比例代表制、代議員数174人
《人口》 1074万人
《面積》 10.6万km2
《州都》 コロンバス
《人口構成》 白人88.8%、黒人9.9%、その他1.3%
《産業別構成》 農業1.8%、工業32.0%、流通27.1%、金融・サービス業24.9%、公務員13.9%
《失業率》 1985年 8.9%、1986年 8.0%、1987年 6.9%
▼ 民意
東部の典型的な工業州。鉄工業など重工業が中心だったので、構造不況の波をもろに受けている。そのせいか、地域エゴも強く出ている。例えば、大気汚染防止法に強く反対し、原子力発電、軍事力の増強、スターウォーズ計画、スペースシャトルには賛成している。しかし公民権運動、鉄砲所持の規制、禁煙運動、社会福祉の充実、消費者保護、アパルトヘイトへの制裁に賛成し、エイズ患者の隔離に反対するなど、人権問題に関心がないわけではない。ただし、バス強制通学には反対する人が多いというように、リベラルとも保守とも言い切れないのが、逆にこの州の特徴。
日本には、新包括貿易法案を支持し、厳しく市場の開放を求めているが、資本や企業の進出は強く望んでいる。
外交に関してはほとんど、アメリカの平和的考え方だが、ただ中国とほ関係促進には消極的だ。
【カリフォルニア州】
▼ プロフィール
共和党 : 6/7、予備選挙、勝者独占、代議員数176人
民主党 : 6/7、予備選挙、比例代表制、代議員数336人
《人口》 2636万人
《面積》 40.5km2
《州都》 サクラメント
《人口構成》 白人76.1%、黒人7.6%、その他16.3%
《産業別構成》 農業0.7%、工業27.3%、流通26.6%、金融・サービス業29.3%、公務員16.0%
《失業率》 1985年 7.2%、1986年 6.7%、1987年 5.4%
▼ 民意
太平洋岸の広大な土地の豊かな州。農業も工業も共に発展し、油田もある。ロサンゼルスのような大都市があり、州民の意識は高い。禁煙運動に熱心で、大気汚染防止法に賛成し、原子力発電、資源開発に反対している。その反面、鉄砲の所持規制には反対だ。また、日本やメキシコなど各地からの移民が集まっているのが特徴で、多数の民族によって構成されている州なのだが、移民労働者の規制には賛成者が多い。
軍事面でいえばすべてに積極的でスターウォーズ計画やスペースシャトルも推進派が多い。ただし軍縮には積極的な意見を持ち、核実験にも反対している。
農業の保政策にも高い関心を持つ一方、ハイテク産業が集まっているせいか、コンピュータプログラムの保護にも力を入れている。教育や人権についてはリベラルな考え方を持ち、アパルトヘイト制裁も強く支持し、日本に対しては比較的厳しい姿勢を見せている。
■スーパーチューズデーの州 【南部】
テネシー、ジョージア、ケンタッキー、アラバマ、ノースカロライナ、フロリダ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピー、オクラホマ、テキサス、バージニア(バージニアは民主党のみ)
▼ プロフィール
共和党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数551人
民主党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数1012人
《人口》 7093万人
《人口構成》 白人78.8%、黒人17.7%、その他3.5%
《産業別構成》 農業2.9%、工業27.1%、流通28.5%、金融・サービス業24.8%、公務員16.4%
《失業率》 1985年 8.0%、1986年 8.4%、1987年 6.9%
▼ 民意
南部の諸州は、広大な地域にまたがっているが、歴史の経緯からも保守的な土壌だ。黒人の人口比率が高く、人権問題に対する意識は高い。特に公民権運動に関しては、全米一の支持を示す。ただし排他的な面があり、移民問題には否定的だ。
産業の少ない地域なので、産業の活性化に結び付くあらゆる政策に積極的。農業も主要な産業なので、農業保護政策にも高い関心を示している。そのほか、原子力発電、スターウォーズ計画、スペースシャトルなどにも賛成している。
教育モラルの問題に最も保守色が出ている。バスの強制通学の廃止は、黒人の強い運動があり賛成できないでいる。
日本に対しては、関心が低いせいか、あまり厳しい考えを持っていないが、農産物の輸入自由化だけは強く望んでいる。また、日本企業の進出には、大変積極的。
他の外交面では、保守色が強く出ている。産油地域を含んでいるので、石油輸入税には賛成。
■スーパーチューズデーの州 【東部】
マサチューセッツ、ロードアイランド、メリーランド
▼ プロフィール
共和党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数114人
民主党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数213人
《人口》 1118万人
《人口構成》 白人86.4%、黒人11.0%、その他2.6%
《産業別構成》 農業0.4%、工業26.2%、流通24.2%、金融・サービス業30.3%、公務員18.6%
《失業率》 1985年 4.4%、1986年 3.9%、1987年 3.4%
▼ 民意
アメリカ北東部のこの地域には、比較的小さな州が集まっている。最も早く人々が入植した地域だ。リベラルな考え方をする人が多い。大気汚染防止法、公民権運動、鉄砲所持の規制、禁煙運動に、あまり強くないが賛意を持つ。戦略兵器の制限やソビエトとの相互軍縮には強く賛成し、核に対しては強く反対する。その他、消費者保護、社会福祉の充実、育児環境の改善にも関心が高い。
産業は、重化学工業が中心だが、不況の影響を受けている。そのせいか、農業の保護政策には否定的。知的生産物であるコンピュータプログラムの保護には、高い関心を示している。
日本に対しては、自動車の輸入規制やダンピング制裁は不要なものと思っている。しかし、日本資本の進出は望んでいない。
外交的にもリベラルな面を見せ、アパルトヘイトへの制裁は強く望んでいる。
■スーパーチューズデーの州 【西部】
ワシントン、ミズーリ、アイダホ、ネバダ、ハワイ(以上3州は民主党のみ)
▼ プロフィール
共和党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数88人
民主党 : 3/8、予備選挙、比例代表制、代議員数224人
《人口》 1243万人
《人口構成》 白人85.4%、黒人5.8%、その他8.8%
《産業別構成》 農業3.4%、工業21.5%、流通29.2%、金融・サービス業27.9%、公務員17.8%
《失業率》 1985年 7.4%、1986年 5.6%、1987年 5.7%
▼ 民意
ワシントン州は、航空機などを始めとする軍需産業などの工業が発展した地域なので、民意にもそれが表われている。軍事力の増強には積極的な賛意を示し、スターウォーズ計画やスペースシャトルも支持をしている。しかし、兵器の制限交渉など国際的な軍縮には賛成である。また、核兵器も否定し、核実験には反対している。
西部という土地柄、鉄砲所持の規制には反対、禁煙運動にも否定的だ。農業も盛んな地域なので、農家の保護も必要なものと考えている。
教育モラル問題もリベラルな意見が強い。人権問題も関心が高く、キリスト教的な道徳や愛国教育も必要がないという考え。
日本に対しては、貿易の不均衡については厳しいが、資本の進出や防衛力の増強は歓迎している。
外交面でも、アパルトヘイトの制裁やニカラグアの反政府支援反対などで、リベラルな面が見られる。
大統領選のスケジュール
このニュースシミュレーション「アメリカ大統領選挙」は、1988年の第51回(第41代)アメリカ合衆国大統領選挙のスケジュールに従って進行します。日程は以下の通りです。
日程の略語は次の通り
集 : 党員集会、 予 : 予備選挙、 比 : 比例代表制、 勝 : 勝者独占
共和党 | | 民主党 |
集 : 比 | 1/29 |
ミシガン |
| |
集 : 比 | 2/8 |
アイオワ |
2/8 | 集 : 比 |
予 : 比 | 2/16 |
ニューハンプシャー |
2/16 | 予 : 比 |
予 : 比 | 3/8 |
スーパーチューズデー |
3/8 | 予 : 比 |
予 : 勝 | 3/15 |
イリノイ |
3/15 | 予 : 勝 |
| |
ミシガン |
3/26 | 集 : 比 |
集 : 比 | 4/4 |
コロラド |
4/4 | 集 : 比 |
予 : 勝 | 4/19 |
ニューヨーク |
4/19 | 予 : 比 |
予 : 勝 | 4/26 |
ペンシルバニア |
4/26 | 予 : 勝 |
予 : 勝 | 5/3 |
オハイオ |
5/3 | 予 : 比 |
予 : 勝 | 6/7 |
カリフォルニア |
6/7 | 予 : 比 |
全国党員大会
共和党 : 8/15~18
民主党 : 7/18~21
大統領一般投票日 : 11/8
<政策解説>
立候補者のキャンペーンの主題として取り上げられる可能性のある政策をテーマ別に選びました。それぞれの候補者は自分の強く打ち出そうとする政策を持っていますが、各州の民意との関係で、それをアピールすることが得策とは限りません。なお、特に説明の必要がない政策については解説を省略しました。
<CONTENTS>
環境社会問題
防衛問題
経済問題
教育モラル問題
対日本問題
外交問題
【環境社会問題】
《項目》
①資源開発 ②原子力発電 ③大気汚染防止法 ④公民権運動
⑤移民労働者の規制 ⑥鉄砲所持の規制 ⑦エイズ患者の隔離 ⑧禁煙運動
《解説》
自然や社会の環境を改善、維持することに前向きであるか、又は多少それらを犠牲にしても経済活動などを優先させようと考えるかで、各項目についての賛否が決まる。
①石油、天然ガスなどのエネルギー源、鉱物資源などの開発。自然破壊や財政支出と結び付くとも考える必要がある。
②スリーマイルやチェルノブイリの原子力発電所事故以来、スリーマイル島のあるペンシルバニアを始め、人口の集中地域で反対する人が多い。共和党の候補に推進派が多い。
③工場や自動車による公害を防止するための法案。斜陽ぎみの工業地帯では、反対されている。
④黒人に対する人種差別を撤廃するための法律、人種差別撤廃法(公民権法)は、1957年可決され、ジョンソン大統領の下で1964年に成立したが、黒人にとっては不満なものとされている。これの手直しを積極的に行なおうとするのは、民主党の候補に多く、支持するのは当然、黒人の多い地域になる。
⑤メキシコなど中南米やアジアからの移民労働者を規制しようというもの。人権問題とつながる。
⑥一般人の鉄砲の所持を規制しようとするもの。政党ではなく候補者によって、意見が分かれる。地域的に見ると、西部では反対、犯罪の多い東部の大都市では賛成者が多い。
⑦深刻な社会問題のエイズ患者を社会から隔離してしまおうという考え。人権問題として考える。保守的な候補者、地域に賛成する人が多い。
⑧大都市圏を中心に、嫌煙権を主張する人が増えたことを反映して採り上げられた。共和党の候補が支持している。
【防衛問題】
《項目》
①国防予算の削減 ②軍事力の増強 ③戦略兵器制限条約 ④核実験の禁止
⑤スターウォーズ計画 ⑥ニカラグア反政府への支援 ⑦核兵器製造配備の凍結 ⑧対ソ防衛力の相互縮小
《解説》
防衛問題を考えるには、デタント(東西間の緊張緩和)という時代の流れ、候補者や地域が、保守的(反共・反社会主義にもつながる)かどうかということのほかに、軍事産業が果たす、その地域の経済的な効果も見逃せない大切なポイントになる。
①国の赤字財政立て直しや、世界的な軍縮の流れに沿って考えられている。
②、①とは正反対の、共産圏の脅威や中東の緊張に備えて、軍備を拡大して、国家の安全保障を図ろうとする考え方。
③、⑦、⑧とも軍縮の動きを支持するかどうかの問題。⑧は特にソビエトとの間で進められている2大国間の緊張を少しでもなくすことと、互いに大きくなり過ぎた軍事予算の負担を少しでも減らすことを目的に行われているSALT(ソルト、戦略兵器制限交渉)、INF(中距離核戦力)制限交渉、START(スタート、戦略兵器削減交渉)などの軍縮への動き。
④核兵器に対しての賛否と同時に、環境問題としても考えられている。⑦とも関連付けて考えられる。
⑤1983年にレーガン大統領が提唱した、レーザー光線などのエネルギービームを使い、敵の大陸間弾道ミサイルが発射されても、アメリカ本土に到達する前に破壊してしまおうとする、正式にはSDI(戦略防衛構想)といわれる計画。実現に多大な予算が必要であるうえ、科学者の間から実用化は難しいという指摘もなされている。
⑥ニカラグアの左翼サンディニスタ政権に対するゲリラ(コントラ)に、武器や資金の援助を行なおうとするもの。
【経済問題】
《項目》
①財政再建のための増税 ②農業補助金の削減 ③スペースシャトル計画 ④財政支出の抑制
⑤社会福祉の充実 ⑥消費者保護 ⑦農産物の支持価格 ⑧コンピュータプログラムの保護
《解説》
アメリカは現在、莫大な財政赤字と貿易赤字を抱えている。これを改善するための政策が、各候補者が強力にアピールする点であり、有権者の関心が高いところだ。有権者の立場でいえば、合衆国全体としてより、地域のエゴの方が出てしまう傾向がある。
①どちらかといえば、共和党の候補者が税収も支出も抑えようとしているのに対し、民主党は財政再建のためには、増税も避けられないという考えだ。国民は当然、増税は望まない。
②合衆国政府は農業を保護するために、農家に対して補助金を支給してきたが、財政支出の一環としてこれを削減しようという動きもある。いわゆる農業議員が反対するほか、当然農業が中心産業の州でも反対されている。
③チャレンジャーの爆発事故以来、民主党はスペースシャトルが莫大な予算の割に成果が少ないとして、反対している。
④小さい政府を目指し、財政支出を抑えようとする動きがあり、共和党で進めている。民主党は反対している。
⑤国民は充実を望んでいるが、保守的な候補者は、これも財政支出を抑える一つの手段として、抑えようとしている。
⑥産業重視の考え方をする候補や地域では消極的だ。
⑦大豊作の際などに、農産物の価格があまり下がりすぎないように、それぞれの産物に最低の販売価格を設けること。これは、②と対で考える。消費側の地域では反対する人が多い。
⑧世界的に見直しが進められている、知的所有権の保護の一環。都会を含む州ほど関心が高いため、賛同者が多い。
【教育モラル問題】
《項目》
①キリスト教的モラルの復活 ②公立学校での礼拝義務 ③愛国教育 ④バス強制通学の廃止
⑤脳死を認める ⑥ポルノ規制 ⑦人工中絶の禁止 ⑧育児環境の改善
《解説》
教育モラル問題を考えるとき基準となるのは、候補者や地域の保守性だ。また、宗教もひじょうに大きいウエイトをもって関わってくる。この問題についていえば、共和党の3候補と民主党のスズキ候補が保守的。
①カトリックの教義にある道徳観念を教育に生かそうとするもの。ただし、ザクソン師の理念とは対極にあるので、注意が必要。
②、①とほぼ同じ考え方による。①、②とも、南部や中西部の、大都市を含まない地域に支持者が多い。
③宗教とは直接結び付かないが、推進派は①、②と共通の候補者、地域に多い。
④通常バッシングといわれている。人種差別をなくすために、公立校の白人と黒人の生徒数の比率を、その学区内の白人と黒人の人口比と同じにし、生徒を適宜分配して、バス通学させようとする制度のこと。保守的な白人の側から反対が多い。
⑤脳死とは、脳が永久に機能を失った状態をいう。この状態でも人工呼吸器によって、胸が動き体温が保たれることがある。脳死をもって死を認定するかどうかが、臓器移植の問題もからんで、倫理上の問題となっている。
⑥アメリカでは、ポルノについての規制が緩やかだが、これを厳しく規制しようとするもの。
⑦宗教上の理由などで人工中絶を法律で禁止しようとするもの。
⑧社会環境問題としての側面も持つ。
【対日本問題】
《項目》
①日本車の輸入規制 ②日本製品のダンピング制裁 ③農産物輸入自由化要求 ④新包括貿易法案
⑤関税の引上げ、輸入課徴金 ⑥商業捕鯨の禁止 ⑦日本資本の進出 ⑧日本の防衛力強化
《解説》
この対日問題のように、国内の利害の対立が少ないテーマの場合は、候補者や地域の間で、あまり意見が分かれない。ただしスズキ候補は親日派、プッシュ候補は自由貿易主義者である点に要注
①現在、日本側の自主規制という形で、自動車の輸入台数が規制されているが、円高などの諸情勢を考慮して、規制を緩和しようとする意見もある。
②日本製の半導体がダンピングと認定されたことなどを理由に、1987年4月、カラーテレビなどに100パーセントの関税を課す制裁措置を行なった。以後、若干緩和されたが、今でも日米間の大きな政治課題となっている。
③1988年に、特に牛肉とオレンジの問題が大きくクローズアップされた。農業州だけではなく、全米で支持を得ている。
④アメリカの巨額の貿易赤字を解消する目的で、1988年に議会で可決された保護主義色の強い法案。対象を日本に限定しているわけではないが、相手国に市場の開放を要求するのが建前。
⑤、④と同じ趣旨で、国内の産業を保護するために、輸入品に対し高率の関税をかけようとするもの。
⑥動物や自然保護の立場だけではなく、メンタルな意味も多分に含んで、全米で禁止すべきだと考えられている。
⑦日本の企業や資本を導入して、景気の活性化を図ろうとするもの。南部や中西部の産業の乏しい地域では望まれている。
⑧極東の安全保障に必要なアメリカの負担を減らすという目的があるが、日本の軍備強化が脅威になるという懸念もある。
【外交問題】
《項目》
①自動車の輸入規制 ②アパルトヘイトへの制裁 ③イランへの制裁 ④ココム規制
⑤反共産国家への援助 ⑥パナマ運河返還 ⑦中国との関係 ⑧石油輸入税
《解説》
外交は、イデオロギーが問題となることがあるので、候補者によって意見が激しく対立する点はあるが、貿易問題など利害が絡まないかぎり、地域の民意にはあまり差がない。ただし、世論に保守的な土地柄が影響を与えるということはある。
①日本に限らず、他の国の輸入車も規制しようとするもの。
②アパルトヘイトとは、アフリカーンズ(南アフリカの言葉)で隔離という意味。南アフリカで行なわれている人種差別政策を表わす。ここでは、南アフリカに対して、貿易の禁止などの制裁措置を強化すべきかどうかを問題にしている。ほとんど全米で支持されているが、保守的な候補者は反対している
③人質事件など反米感情の強いイランの制裁についての賛否。
④ココム(対共産圏輸出統制委員会)で、西側の安全保障に関わる物資の輸出を禁止している。これを、保守的な候補者は維持しようとしているが、全米の世論とは異なっている。
⑤国内の共産勢力と内戦状態にある国や、近隣の共産国家の侵略に対して脅威を感じている国に援助をしようというもの。防衛問題と合わせて考えられている。
⑥パナマ運河地帯は、現在アメリカに主権があるが、新パナマ条約によって1999年12月31日をもって、パナマに返還されることになる。しかし、アメリカに反抗的なノリエガ将軍が政権を離さないなどの理由で、世論はこの条約反対に傾いている。
⑦ほとんどの候補者や世論は関係強化を支持しているが、一部保守層には反対の意見もある。
⑧輸入原油・石油製品に関税をかけるというもの。経済問題とも関連がある。産油地域などでは賛成されている。
●目的地としての ホワイトハウス
ワシントンDC ペンシルバニア通り1600番地。これが、大統領選のゴールともいえる、アメリカ大統領官邸ホワイトハウスの所在地。長く激しい選挙戦を闘い抜いた勝利者だけが、今後4年間ここに住み、執務をとることを許されるのだ。
アイルランド生まれの建築家ジェイムス・ホバンの設計で、1792年に建てられ、最初に入居したのは第2代大統領のジョン・アダムスとアビゲイル夫妻。内部は、大統領一家が住む居室と、大統領が執務をとり、補佐官や顧問、報道官などが勤務するホワイトハウス・オフィスに分けることができる。建物は、本館、西館、東館からなっているが、ペンシルバニア通りを隔てて建つ、新旧の行政府ビルも、広い意味では大統領府としてのホワイトハウスの一部といえる。
本館1階には、広い玄関ホール、「イーストルーム」ほかの公式行事用のホールが多数、厨房、それに本館で働くスタッフのオフィスなどがあり、2、3階は、主に大統領の家族の居住区になっている。
大統領府、つまりはアメリカの行政の中枢部といえるのが西館だ。大統領の執務室「オーバルオフィス」、補佐官の執務室、閣議室などのほか、「シチュエーションルーム」という会議室がある。国家の安全保障にかかわるような重大事件が発生したときに、国家安全保障会議が開かれるのがこの部屋だ。
東館はあまり重要な機能を持っていない。ファーストレディ、軍の補佐官、警察隊などのオフィスなどがある。
また新旧行政府ビルには、行政管理予算局、経済諮問委員会など大統領府直属の機関がオフィスを構えている。 |
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監修者のプロフィール
伊藤 信太郎(いとう しんたろう)
昭和28年東京生まれ。慶応大学経済学部卒業、同大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了。アメリカン・フィルム・インスティテュートの監督科を卒業した後、ハーバード大学大学院へ進み修士号を得る。
昭和56年より1年間、国務大臣防衛庁長官の大臣秘書官を務める。(株)伊藤信太郎プロダクションを主宰。ドラマ、ドキュメンタリー、CM等を、幅広く演出プロデュース。
昭和60年4月より、テレビ朝日放映中のCNNニュースキャスターとなる。
著書:デュカキス(テレビ朝日)他
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ゲーム化にあたり、現行のアメリカ大統領選挙を最新の資料を使い、できる限り忠実にシミュレートすることを心掛けましたが、実際とは異なるところがあることをご了承下さい。
また、内容はフィクションであり、実在する人物、地名等とは一切無関係です。 |
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ゲーム及び取扱説明書の制作には、以下の書籍を参考にしました。(順不同)
「アメリカを知る事典」(平凡社)、「誰も知らないアメリカ議会」(T.R.リード/東洋経済新報社)、「アメリカ政治経済の争点」(泉 昌一他/有斐閣選書)、「アメリカ政治経済ハンドブック」(鹿島平和研究所/時事通信社)、「大予測・アメリカはこう変わる」(オックスフォード・アナリティカ/中経出版)、「アメリカ合州国」(本多 勝一/朝日文庫)、「アメリカ合衆国大統領」(飯沼 健真/講談社現代新書)、「アメリカ大統領」(阿部 斉/三省堂選書)、「ポスト・レーガン アメリカの混迷」(大塚 喬重/立風書房)、「アメリカ大統領」(宇佐美 滋/講談社)、「デュカキス」(伊藤 信太郎/テレビ朝日)、「マンガ アメリカ大統領選」(伊藤 信太郎/テレビ朝日)、「アメリカ政治を読む」(松崎 哲久/かんき出版)、「歴史読本ワールド アメリカ合衆国大統領」(新人物往来社)、「朝日キーワード 1989」(朝日新聞社)、「イミダス 1988」(集英社)
「NATIONAL JOURNAL」Nov.14 1987、「U.S.Bureau of the Census Current Population Report」、「PRESIDENTIAL ELECTIONS」(Nelson W. Polsby)、「The Presidential Contest」(Richard A.Watson)、「ESTABLISHMENT DATA STATE AND AREA EMPLOYMENT NOT SEASONALLY ADJUSTED」、「Newsweek」日本版、「U.S.NEWS & WORLD REPORT」Aug.29-Sept.5 1988 |
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