山村美紗サスペンスシリーズ
京都 財テク殺人事件
このたびは(株)ヘクトのファミリーコンピュータ用カセット、『京都 財テク殺人事件』をお買い上げいただきまして、まことにありがとうございます。ご使用の前にこの取扱説明書をよくお読みになって、正しい使用方法でお楽しみください。
<CONTENTS>
プロローグ―真夏の午後突然に コントローラーの使い方 ゲームのスタート アドベンチャーゲームの楽しみ方 ゲームのコマンド 株の売買 プレイヤーの登録 セーブ/ロード |
登場人物紹介 ストーリーの舞台 事件解決のヒント集 山村美紗が語る 株の極意 Q&A 株式必勝法!! 現代 経済&株式キーワード集 株式用語辞典 |
<山村美紗サスペンス/京都 財テク殺人事件>
<真夏の昼下がり、突然に…>
事件は南禅寺で起こった
'90年の8月のある土曜日、私と夏子は南禅寺の境内で高校時代の友人、友未子が来るのを待っていた。東京の大学へ進学し、そのまま現地で就職した友未子とは5年ぶりの再会になるはずだった。製薬会社に勤める友未子は、京都の研究所に転勤になり、戻ってきていたのだった。
その南禅寺で殺人事件が起きた。私たちが人だかりの方へ駆けつけてみると、あろうことか、そこに横たわっているのは、変わり果てた友未子だった。
私たちは、彼女が殺された理由を調べないわけにはいかない、と思った。
<ゲームのスタート/コントローラーの使い方>
コントローラーの使い方
『京都 財テク殺人事件』は1人プレイ用ソフトです。コントローラーはⅠのみを使用します。
Aボタン | コマンドを決定するときやメッセージを先に進めるときなどに使用します。 |
Bボタン | Aボタンで選んだコマンドを中止するときに使用します。 |
スタートボタン | ゲームを開始するときに使用します。 |
セレクトボタン | スタート時の、ニューゲーム/コンティニューの選択に使用します。 |
十字ボタン | コマンドの選択や、画面を調べるときなどのカーソルの移動に使用します。 |
● | メインスクリーン 登場人物や、主人公のいる場所がこの画面に現れます。場合により、この画面の中を調べることもできます。 |
● | サブウィンドウ プレイヤーの命令―コマンドを選ぶウィンドウです。十字ボタンでカーソル(印)を選ぶコマンドに合わせ、Aボタンを押すと、そのコマンドを実施することができます。なお、サブウィンドウは右側に出ることもあります。 |
● | メッセージ画面 シーンの説明、画面に現れた人物の会話、状況の説明などが出る画面です。事件の謎を解くための重要なヒントが出てくることもあります。Aボタンを続けて押すと、表示速度を速くすることができます。 |
● | ゲームのスタート ファミリーコンピュータ本体の電源を入れると、タイトル画面が現れます。初めてプレイするときは、STARTを、前回の続きをプレイするときにはCONTINUEを選び、スタートボタンを押すとストーリーが始まります。 |
<アドベンチャーゲームの楽しみ方>
『京都 財テク殺人事件』はアドベンチャーゲームです。ゲームの中に隠された事件の謎をひとつずつ解明し、真犯人を探し出してください。
● | コマンドで調べる アドベンチャーゲームの基本はコマンドの実行です。とにかくでてくるコマンドをすべて試すことを心掛けてください。ただすべてのコマンドを実行するだけでは、まだ謎が解けないこともあります。同じコマンドを繰り返したり、場所を移動してからもう一度、と根気よくトライしてみましょう。
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● | カーソルで調べる いくつかのシーンでは、メインスクリーン内を、カーソル(矢印)を操作して調べることができます。調べようと思った位置にカーソルの先を合わせ、Aボタンを押すと、結果を知ることができます。 コマンドの調査と同じく、何度も試さなければ、わからないこともあります。
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● | きく 最も頻繁に使うコマンド。聞ける相手には、とにかくどんなことでも丹念に聞いておこう。 | ||
● | よぶ 話を聞きたい人を呼び出したり、複数の人物と会っているとき、話の相手をかえたいときに使用します。 | ||
● | はなす あなたが調べてきたり、聞いたことを相手に話すときに使用します。 | ||
● | とる 事件を解くカギとなるものを手にとったり、電話や物を手にとるときのコマンドです。 | ||
● | ばしょいどう それまでいた場所から移動するときのコマンド。捜査の鉄則はまめに歩くこと。動いているうちに状況が変わることもある。 | ||
● | すいりする あなたと夏子の行き着けのスナック「天狗屋」で使うコマンド。いままで、調べたことを思い出して整理し、解決の糸口を見つける。マスターから、謎を解くヒントが与えられることもあります。
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● | しらべる シーンによっては、カーソルを使って、直接画面上の細かな部分を「調べる」ことができます。ボタンで矢印状のカーソルを調べたい位置に合わせ、Aボタンを押すと結果がわかります。
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● | そうさやめる 捜査をやめる―ゲームを中断するときに使用するコマンドです。ゲームをやめても、次に再び同じところから始めることができます。 詳しくは下記の「セーブ/ロード」をご覧ください。 | ||
● | メモ 登場人物のプロフィールを見ることができるコマンドです。 |
● | きく かぶのこと 西丸証券のあなたの担当者のデスクで、「きく」に続いて「かぶのこと」を選ぶと、下画像のサブウィンドウが現れ、株の調査や売買ができます。詳しくは以下のとおりです。 | ||
● | チャートをみる このコマンドでは、株価の動きを示すチャートを見ることができます。チャートは、株価の1日の動きと長期間の推移を同時に示すことができるので、売買の判断の重要な材料となります。「チャートみる」に続いて、見たい銘柄を選んでください。
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● | かう 株を購入するときのコマンドです。カーソルを「買う」に合わせ、銘柄を選びます。 あなたの手持ちの資金は200万円、株は1000株単位で売買します。 | ||
● | うる あなたの手持ちの株を売却するときのコマンドです。 「売る」のコマンドを選ぶと、担当者が現在の株価を教えてくれます。それを見て、売るべきかどうか判断してください。 | ||
● | きく このコマンドで、担当者が各銘柄についての説明をしてくれます。また、手持ちの銘柄の状態も教えてくれます。 | ||
● | かぶしらべる あなたの資金の状態を知るコマンドです。手持ちの、現金、株、合計の金額の内訳がわかります。 | ||
● | しらべる ようご コマンドを「しらべる」、「ようご」の順に選択すると、株式の用語の解説を見ることができます。 詳しくは、下記の「株式用語辞典」をご覧ください。 |
<プレイヤー名登録>
南禅寺で事件が起こった後、狩矢警部にあなたの名前を聞かれます。ここで、あなたの名前を登録してください。登場人物があなたに呼び掛けるときの名前です。またこのあと、ゲームを途中でやめるときも、この名前でセーブができます。
下の画面で、名前の登録を行ないます。十字ボタンとAボタンで入力してください。最大の字数は8文字、名字4文字、名前4文字です。濁点や半濁点を付けることもできます。名前が完成したら「おわり」を選んでください。
● 株が題材の山村作品 ● 本作品と同様に、山村作品には株が事件に絡む作品は数多い。例を挙げると、『天の橋立殺人事件』(講談社ノベルス)では、株の銘柄や銘柄コードが謎のダイイングメッセージとして使われ、『女相続人連続殺人事件』(角川ノベルズ)では、主人公の未亡人が莫大な遺産を株で運用、『京都絵馬堂殺人事件』(光文社文庫)では、証券マンが被害者で、『OL死のマネーゲーム』(文芸春秋)では、仲良しの3人のOLが株に手を出したことが殺人事件の発端となっている…。という具合だ。 |
<セーブ/ロード>
ゲームを中断するとき
ゲームを中断しても、次に同じところから再開することができます。
コマンドの「そうさやめる」を選ぶと、その時点までの内容を保存することができます。セーブは3人までできます。
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<登場人物紹介>
次に紹介する20人が、この物語の主な登場人物たちです。この中に当然真犯人がいます。また、共犯者もいるかもしれません。また、登場の機会が少なくても、事件の謎を解く重要な証言をしてくれる人もいます。(名前の右の数字は年齢です。)
朝永 夏子/ともなが なつこ (26) 京都在住の駆けだしの女優。たまにテレビに出演することもある。あなたと、友未子と共通の高校時代からの友人。 今回の事件では、あなたのパートナーとして犯人探しをすることになる。 | |
嶋上友未子/しまかみ ゆみこ (26) あなたと夏子の高校時代からの友人。東京の大学を出て、そのまま現地で就職していたのだが、最近勤務先が変わり、京都のD薬品の研究所に勤めていた。 待合せ場所の南禅寺の境内で、何者かに殺されてしまう。 | |
露口 猛/つゆぐち たけし (39) D薬品で、新薬の開発を行なっている研究員。友未子は、露口の助手であり、愛人でもあった。ライバル社から引き抜きの噂もある。 | |
露口杏子/つゆぐち きょうこ (32) 猛の妻。二人の間に子供はいない。夫の不倫には気がついていたようだ。西丸証券を通じて、かなり手広く株をやっていた。 | |
カナ (52) 露口家の住み込みお手伝い。 長年住み込んでいるため、露口夫妻について知りつくしている。そのため、かなり核心に触れる証言をしてくれる。 | |
谷本賢司/たにもと けんじ (62) D薬品の開発部長。露口や友未子の上司にあたる。また、杏子の父でもある。露口を大変高く買っているため、娘を猛に嫁がせたのだ。 | |
東 佳昭/あずま よしあき (44) 西丸証券の営業部長。西川、南、北井の上司。後に次長に降格となる。 会社の体面を守るせいか事件の捜査にはあまり協力的ではないようだ。 | |
西川清二/にしかわ せいじ (28) 西丸証券の営業マン。露口杏子、清村冬美の担当者。父は西丸証券の社長、西川金吉だが、清二は証券マンに向いていないといわれ続けている。 | |
南 剛/みなみ ごう (28) 西丸証券の営業マン。初めて株を買う夏子の担当者となった。 夏子とはデートをするほど親しくなっている。 | |
北井泰司/きたい やすし (32) 西丸証券の営業マン。あなたの担当者となる。 株のことだけでなく、事件のことについてもフランクに話してくれる。 | |
狩矢警部/かりやけいぶ (45) 京都府警捜査一課のベテラン刑事。この事件の担当者だ。 どちらかといえば、あなたと夏子の活躍に引っ張られてしまっている。 | |
橋口警部補/はしぐちけいぶほ (38) やはり、京都府警捜査一課の刑事。狩矢警部の部下。 二人は名コンビとして有名だ。今回の事件では、東京の捜査を行なった。 | |
天狗屋のマスター (36) あなたや夏子が行きつけのスナックのマスター。ここで、落ち着いてコーヒーを飲めば、こんがらがった頭の中が整理できそうな気がする。 | |
田村茂子/たむら しげこ (48) 西川、南、北井が住むももやまマンションの管理人。捜査も大詰めになったころ、第三の事件に関する重要な証言をしてくれる。 | |
柴田裕也/しばた ひろや (45) D薬品の研究員。露口と共に新薬の開発を行なっている。露口にとっては、相談相手でもある。 | |
吉岡恵津子/よしおか えつこ (22) D薬品の研究員。友未子と共に、露口や柴田の助手を勤めていた。入社して間がないせいか、露口と友未子の関係についても疎かったようだ。 | |
西川金吉/にしかわ かねきち (63) 西丸証券の社長。彼一代で西丸証券を京都で一、二を競う証券会社に育てあげた。 営業マンの西川清二はひとり息子。 | |
とき (68) 西川家の住み込みお手伝い。30年以上にわたって勤めている。清二にとっては、祖母のような存在。 | |
清村冬美/きよむら ふゆみ (29) 京友禅のデザイナー。最近財テクに関心を持ちだし、株を始めた。 西川清二の顧客だが、冬美は西川を信頼していないようだ。 | |
遠藤康裕/えんどう やすひろ (35) 事件の背後に見え隠れする謎の人物。露口と西丸証券の接点にいる。 限りなく怪しいが、シッポをつかむのは困難だ。 |
● 山村作品の常連たち ● コナン・ドイルのホームズ、アガサ・クリスティのポアロ、江戸川乱歩の明智小五郎、横溝正史の金田一京助…という具合に、名推理作家にはかならず名主人公というのがいるものです。 山村ミステリーといえばキャサリン。それに京都府警の狩矢と橋口の刑事コンビが絡んで難事件を解決する、というのが定番になっています。 ただし、『京都 財テク殺人事件』にはキャサリンは登場しません。あなたがキャサリンの代わりに大活躍、という設定なのです。 |
<ストーリーの舞台>
事件の発端は東山の南禅寺、西丸証券は四条烏丸、北井たちのマンションは伏見、露口邸は嵯峨野の住宅地、と京都市街の各地が物語の舞台となっている。
● | 南禅寺 東山の緑を背に建つ大寺院。本ゲームの背景にも登場するのが疎水アーチ。欝蒼とする木立と大伽藍、それに赤レンガのアーチのコントラストがおもしろい。付近は、京都の市街地からも近い、絶好の散歩コース。 明治の初め、琵琶湖から京都に水を引くために造られた疎水が、ユニークな景観を作っている。 |
● | 露口邸 嵯峨野の閑静な住宅地にある豪邸。露口猛と杏子が結婚したとき、杏子の父、谷本が与えてくれた。ストーリーに登場するのは、その門、応接間、広間。 ここでは、お手伝いのカナや露口と話しができる。人を呼ぶときにはインターホンを使う。 |
● | 西丸証券ビル 京都の中心地、四条烏丸にある証券ビル。1階はロビー、2階以上の各階は、証券マンたちの個室になっている。ストーリーにはこのほか地下駐車場、社長室が登場する。 壁には営業成績表が、ドアの向こうにはエレベーターホールが見えている。 |
● | 四条烏丸界隈 京都の中心地、四条烏丸界隈。烏丸通りから河原町通りにかけてデパートや銀行、証券会社の支店などが軒を並べている。こんな中に西丸証券ビルもある。 |
● | ももやまマンション 京都の市街地の南側、伏見にあるマンション。西川証券はこの一部を購入して、社宅として利用している。北井、南、西川など独身の営業マンが多く入居している。 |
● | 夏子の部屋 交通の便利な四条大宮の近くに、ひとり暮らしをしている。あなたも頻繁にここにやってきて、意見を交換するといい。でも、忙しい夏子はなかなかつかまらない。 |
● | 冬美の部屋 手描き友禅のデザイナーをしている冬美は、静かな雰囲気が気に入って、下賀茂に住んでいる。近くには京都芸術短大もあり、芸術家が好んでいく店も多い。 |
● | 西川邸 京都市街の北西、北野にある西川金吉の屋敷。広い敷地に大きな純和風の家屋が建っている。ひとり息子の清二はそれを嫌って、気楽なマンション暮らしをしている。 |
● | D薬品研究所 京都御所や、京大に近い、聖護院と呼ばれる地区にある製薬メーカーの研究室。ここで露口は、友未子らと新薬を開発していた。 |
● | 京都府警 烏丸通りをはさんで京都御所と向かいあっている。あなたは、この中の捜査一課の狩矢警部と協同で捜査をすることになる。 |
● | 天狗屋 あなたの行きつけのスナック。三条河原町の雑居ビルにある。ここで、コーヒーを飲みながら考えをまとめるのが習慣になっている。 |
<事件解決のためのヒント集>
ここは、もし詰まってしまって、どうしても先に進めないときだけ読んでください。先に読むと、謎解きの楽しさが半減してしまいます。
1. | 南禅寺の境内 まず、いきなり殺人事件が起きる南禅寺の境内。カーソルで画面を調べてもなかなか先に進むことができない。コマンドの「きく」と「しらべる」を交互に実行してみよう。どんな場合にもコマンドを一度試しただけで安心しないことは鉄則。 |
2. | 露口邸(玄関前) このストーリーの重要な登場人物である露口猛の自宅前。中に入らなくても、いろいろ大切な情報を手に入れることができる。特に、お手伝いのカナに要注意。事件の核心に触れる証言を多くしてくれる人物だ。 |
3. | 露口邸(広間) 第二の事件が起きるのがここだ。ここでは密室のトリックを解かなければならない。カーソルで調べて、リアクションのある冷蔵庫、ビリヤードテーブルなどは要チェックだ。ゲーム中に出てくるキーワードでわかりにくいのは、薬包紙と角氷。 |
4. | 西丸証券 北井のデスク 北井のデスクで、あなたは実際に株の売買をする。ここで利益を出すと、どこか別の場所で、事件解決の重要なヒントを聞くことができる。チャートを見れば、株価の動きは容易に想像できる。大きな利益を出すには、途中で乗り換えること。 |
5. | ももやまマンション ももやまマンションの、南と西川の部屋は最後の要チェックのポイント。くどいようですが、ギブアップしそうな人以外は、絶対に読まないでくださいね。 カーソルで部屋の細部をしっかり調べる。特に、電話と観葉植物の鉢は、見落とさないこと。 第三の事件の後で訪ねるときは、南に質問をしながら調べを進めよう。西川の部屋も同時に調べた方がいい。 この部屋は、第三の事件後に初めて調べることになる。チェックポイントは、南の部屋と同じだ。 西川の部屋を調べるには、管理人から鍵を開けてもらう必要がある。それは、北井がたのんでくれるだろう。 |
6. | 夏子の推理 ストーリーの最後は、夏子と一緒に謎解きをする。夏子の質問に答える形式なのだが、素直に、常識的な答えをしていると、誘導尋問のように袋小路に追い込まれてしまう。常識を覆すような大胆な発想が必要だ。 電話と自動車を利用しているのは確かなようだが…。 |
● 電話のトリック ● あまり詳しくはいいませんが、ここで使われたのは電話のトリックです。電話を使ったトリックも、古今東西、様々なものがありました。現代のように電話が便利になり、いろいろな機能をもつようになったら、トリックもまだまだ新しいものがいくらでも考えられそうです。 転送電話、コードレスホン、移動電話、留守番電話…。時代の流れにつれ、推理小説の題材には事欠かないようです。山村先生にも次作の、また斬新なトリックと鮮やかな謎解きを大いに期待しましょう。 |
<山村美紗が語る 株の極意>
株を題材にした作品を執筆されるだけでなく、実際の株にかけても超ベテランの山村先生に「山村流株の哲学」を尋ねてみました。
山村先生にお話を伺ったのは、'90年の8月23日の夕方。東京で催される誕生会のために上京された先生を、滞在先のホテルに訪ねました。
3ヵ所にファミコンを置いています
――先生はファミコンがお好きだそうですね。
ずいぶん前から好きですよ。スーパーマリオはまだ私の子供も知らないころからやってました。普通だったら子供から教えてもらうものなのにね。甥や姪に教えたのも私なのよ。すぐ追い越されちゃいましたけどね。
ドラクエⅥも発売前に送ってもらったりしてるんだけど、このごろは時間がなくて、横でやってもらったの。それでも、(原稿の)締切に遅れて、しかられちゃいました。
始めたら、最後までいかないと気がすまない性格なんです。だから(仕事場の)2階では、絶対しないことにしました。2階では仕事だけするようにして。それでも、3ヵ所でできるようにしてあるんですよ。最初は腰が痛くなるまでやってました。
――じゃあ、ご自身の作品がファミコンになるということは…
うれしいです。自分もその世界に仲間入りできたみたいで。このあいだも雑誌で、若い人の好きな作家の女性の1位に選ばれたんですが、ゲームの影響じゃないかしら。
株についてのお話を伺おうとしていたこの日、折悪しく、記録的に大きく下げました。そんな話題から。
今回は、忙しいから放ったらかしです
――今日はずいぶん下げているみたいですね。
いい銘柄ばかり持ってるから、そんなに影響ないと思いますけど…。
ブラックマンデーのときも、新日鉄とNTTを買いに入ったぐらいですから、(暴落があっても)損はしてないんです。
今度の下げは、スターリンショックと東京オリンピックのあとと第1次オイルショックの3回の大きな下げに匹敵するんじゃないかしら。でもあんまりあわてないの。
いままでは、大きく下げたときも、すぐ売りにでてすごく儲けてるんだけど、今回は忙しくて放ったらかしてるうちにどんどん下がりましたね。(気にしても)仕方ないから、まあいいや、と思ってます。(笑い)
すぐにアパートが買えました
――先生が、株を始められたきっかけを教えてください。
大学をでてすぐの夏休み、当時は中学の教師をしていましたが、四条通りを買い物しながら歩いていたときです。たまたま大和証券にフラフラと入ったら、いまと違って株価を全部黒板に書いていたでしょ。それがおもしろくて、それから毎日のように通って見ていたの。そしたら、今度はあれが上がるとか、だんだんわかるようになってきたんです。
それで、自信がついてきましたし、もうそろそろいいだろうと思って、10万円持って行ったんです。時計を買おうと思っていたお金とか、ボーナスとかを貯めて持っていましたから。これで、(儲かって)時計が買えるかもしれないと思いました。
あまり関係ないことですけど、終戦までは父が外地の大学の学長をしてましたので、大きな家に住んでまったく不自由のない生活をしていたんですが、引き揚げてきて何年かは大変な苦労をしました。そんな時期に大学をでて就職したから、まだ時計も持っていなかったんです。
でもそのころは、若い女性が株をするなんてだれも思わなかったから、「お嬢さん、お使いですか」なんていわいわれましたよ。それで、「三菱地所が欲しい」っていったんですけど、まだ本気で対応してくれませんでしたよ。「欲しいっていわれてもねえ」なんていう調子で。(笑い)
当時は確か、百株から買えたと思います。それで、2、3日で売ったら時計が買えましたよ。
そのころ、1日に何回でも売ったり買ったりしてました。いまみたいに規制がなかったから、1つの銘柄を1日に何回でも売り買いできたんですよ。だって、資金が少なかったから。10回売ったり買ったりしたら、資金が10倍に使えるということでしょ。
それからはとっても順調で、3年ぐらいで16世帯のアパートが買えました。そこから入ってくる収入の方が、教師の給料よりはるかに多くなったし、かけないでくれっていってあるのに(証券マンから)学校に電話がかかってくるようになったりして、そんなこんなで、まもなく学校は辞めました。
苦労した時期があっただけに、お金が殖えたのはもちろんうれしかったけど、それよりも自分の推理が当たるというのが、すごくうれしかったのよ。
推理小説は意外性、といわれますけど、株についてはあまり意外性があって欲しくないなと思います。(笑い)
数学が得意で、だから推理小説が書けるようになったのだと思いますけれど、株のときもいろいろなデータを頭に入れておくのがうまかったんでしょうね。競馬も同じように得意なんですよ。でも性格的に、データを細かく記録しておく方ではないんです。だから、勘の鋭さも大事だったんだと思います。
株で得た知識が作品に生きています
――推理というところで、推理小説と株とが結び付くんですね。
なるべく、広く浅く買ったんですよ。それが、推理小説にとっても役に立っているんです。主婦をしていたらなんにもわからないでしょう。父が学者だったから会社というものもよく知らなかったし、マツダがロータリーエンジンを開発したとか、八幡製鉄と富士製鉄とが合併したとか、そういう企業の競争とか、政治との関連とかっていう社会の知識を株で得ることができたと思います。新聞読んでいても、ニュース見ててもおもしろいですからね。いまなら、ケンタッキーとかアルミ缶の回収とか、いろいろなことに関心がありますね。
もともと勉強が好きな方じゃなかったんですが、株をやっていれば、必要にせまられて頭に入りますからね。そういうことの積み重ねが、いまの作品に生きているのだと思います。
人生はすべて推理と意外性じゃないですか。それがわかったことだけでも、株をやってよかったと思っています。
――そのほか株で得られたことはありますか
株で儲けた自信でしょうか、少しぐらいのことじゃ動じないようになりましたね。原稿が遅くて動じないのはいけないかもしれませんけど。(笑い)編集者の方が青い顔してても、それほどたいしたことじゃないと思って。
ケネディショックのときは、毎日30万、30万…って損をしましたけれど、結局すぐとり戻しましたからね。マイナス5だったらプラス7にすればいいと思っています。
「少し」で30年間やってます
――最後に、先生の株の哲学を教えてください
哲学なんてありませんけど、アドバイスぐらいなら…。資金は全部使わないということです。私はいつも、手持ちの資金の半分ぐらいしか使っていません。そうするとナンピンかけられるでしょう。無理なお金ではだめですね。
それから、よく知っている銘柄、自分が何回も買った銘柄でやって、ほんの少し上がったら売ることです。1割、2割ぐらいでいいんです。頂点で売ろうとしてもむずかしいから。野球のゲームと同じで1対0で勝っても10対0でも、結局勝ちは勝ちでしょう。「少し」で30年間やってますから。
株は余裕のゲームです
――もう30年になるんですか
ええ。でもそれいうの、ほんとはいやなんですよ。あちこちで聞かれて、歳いくつなんでしょうかって。(笑い)子供のころからやってますからって答えるんですけどね。
自分の一身上に何かあるときには、株はやめといた方がいいでしょうね。病気とか、恋愛に夢中になってるときとか、失恋したときとか、株に集中できないから。
今回のようなときも、仕事が忙しいときにやってるから、損してるわけですけど、株に集中してたら絶対に損していなかったと思います。すぐ売りに逃げて、すぐ買ってって、3往復ぐらいしてるとこですよ。
株は余裕のゲームですからね、お金の余裕がなければいけないし、気持の余裕もなければいけないと思いますよ。
私は、全然余裕がないときにやってるわけですから、ちょっと損しました。でも私の場合、全部現物だから大丈夫なんです。過去のことをいっても仕方ないから、このままにしておこうと思います。いつかまた上がりますよ。
それから、損をしても証券会社の人は責めないことにしています。自分が納得して買ったんですから。いいときだけは自分、というのはよくないですよね。
――きょうは、人生哲学までお話しくださいまして…
いえ、私は、哲学とかモットーとかないんですよ。色紙に書く言葉で「和」と「根性」と「忍耐」と「努力」が嫌いで…。「あとは野となれ山となれ」というのは好きだけど。(笑い)起きたことはくよくよしないことですね。別れた男のことは考えない、とそういう考え方でいかないとね。
株も度胸がない人はやめた方がいいですね。株にはスリルとサスペンスがあるでしょう。私はスリルとサスペンスが大好きだから、これだけ楽しませてくれるものって、ほかに考えられないですね。それに、冒険心と好奇心も満足させてくれますし、だから、いまは儲ける必要は全然ないんだけど、やめられないでいます。
――ほんとうに、貴重なお話をどうもありがとうございました。
<Q&A株式必勝法!!>
株の買い方、売り方、銘柄の見つけ方…、初めて株を買う人に、儲ける方法教えます。あなたの素朴な疑問に答える「株式必勝法」入門講座です。
Q. | 株は、1株でも変えるのですか、またどのくらいの予算があれば買えるのでしょうか? |
A. | まず、株の取引に使われる「単位」という言葉を覚えてください。 ほとんどの株は、額面が50円ですから1000株を1単位として売買しています。だから1000株単位でなければ、売買できないということになります。ただし、電力株などの額面が500円の株は100株単位で、NTT株はご存じのように1株単位で売買されています。 また、例外として、額面20円の株(東京楽天地、東京都競馬など、単位は銘柄によって1000株から3000株までと異なります)や額面が50円でも100株単位で売買をしている銘柄(ソニー、ファナックなど)もあります。 したがって、株の購入予算は、通常株価の1000倍が最低必要、ということになります。時価が2000円の株なら、少なくとも200万円が必要なのです。 実際は、この価格に証券会社に支払う手数料が加わります。(なお、この手数料は、取引の額によって細かく設定されています。) |
Q. | 証券会社は、どうやって選べばいいのでしょうか? |
A. | 同じ銘柄を買う場合、どの証券会社で買っても、まったく違いはありません。だから、あなたにとって便利な場所にある、行きやすい証券会社を選ぶのが一番でしょう。 もちろん、窓口での応対や証券マンの質も大事でしょうが、あなたが自分の判断で銘柄や売買のタイミングを決めるのですから、それは、二の次といっていいでしょう。 むしろ、あまりに強引すぎる証券マンの言いなりになってしまうことこそ気を付けるべきでしょう。判断するのはあなただということを肝に銘じてください。 |
Q. | 初めて株を購入するときには、どんな準備が必要ですか? |
A. | ここでは、現金で、現物の取引をする場合についてお答えします。まず、証券会社を訪れる前に、購入しようとする銘柄を決めておくことです。 証券会社へは、あなたの口座を開く必要があるので印鑑を、それに株の購入代金を持参します。 購入する際には、銘柄と単位数を告げ、手数料を含めたおおよその代金を預けます。 そして、売買が成立したら、4日後に代金の精算と株券の受け渡しをしてもらい、晴れて株主となるわけです。 なお、株を買うときには「指し値」か「成り行き」(巻末の株式用語辞典を参照してください)を指定する必要があります。 指し値の場合は思い通りの値段で買えるかわり、その価値にならないために成立しないかもしれないし、成り行きの場合はかならず買えるかわり、思い通りの価格ではなくなることがあります。 |
Q. | 株を売るタイミングは、どうやって見極めるのですか? |
A. | 値上がりすれば、いつ売っても利益が出るわけではありません。株を売るときには手数料に加え、税金(有価証券取引税―税率は売り代金の0.3%と決まっています)も必要になる、ということを忘れないでほしいのです。 つまり、売買の手数料と税金を加えた金額以上に値上がりしたときに売って、初めて利益が出たことになります。 また、少しでも儲けを出せば上出来、という考え方もできますが、上がり続けているときに売るのは、惜しいときもあります。頂点で売れれば最高なのですが、そううまくいくものではありません。 そういうときは、持株を一度に売らず、何回かに分けて売る方法をとるのです。もちろんこのときは、2単位以上の株を持っている必要があります。 また、この方法は、買いの際にも使います。下げの途中で買うときは様子を見ながら、下がったら買いたすという方法をとって、平均の購入価格を下げるのです。こういう方法をナンピンといいます。ただし、資金に十分余裕がなければこの方法は使えません。 |
Q. | 株を買った後、株券を自分の名義に書き換える必要はないのですか? |
A. | 先程、株の購入の手続きが終わったら、晴れて株主に、といいましたが、正確には株主名簿に登録されないうちは株主とは認められないのです。そのために、名義の書き換えが必要になります。この手続きは、手数料は必要ですが、証券会社が代行してくれます。 名義の書き換えをしないと、株主ではないわけですから、配当を受けることもできませんし、株主のための優待などの特典を受けることもできません。 ただ、名義の書き換えは、必ずしなければならないというものではないのです。むしろ、最近の投資家のあいだでは書き換えをしないことが一般的になっています。 名義の書き換えには、少なくとも1週間、長ければ2週間もかかることがあります。その間は、たとえ株価に変動があって、売買したくてもできないことになっているのです。 だから、いつでもチャンスを逃さず、売却して利益を出そうと思う投資家は、ほかのメリットは犠牲にしても、名義を書き換えないわけです。 |
Q. | 株主になったら配当を貰うのが楽しみなのですが、それほど魅力はないのですか? |
A. | かつては、確かに魅力があったのですが、いまはそう考える人はほとんどいません。 配当というのは、1年間の利益を投資者=株主に分配するもので、現金で行なう場合と、株式で行なう場合があります。一般的には現金の場合のことをいうことが多いので、まず、現金の場合を考えてみましょう。 配当は1株当たりの金額で行なわれます。現在のように株価が額面を遥かに超えてしまっていると、その金額は、株価の割合にするとごくわずかなものなのです。 仮りにいま、1000円の株を1000株持っているとしましょう。投資額は100万円です。この株に5円の配当があったとしても、1000株では、5000円、年率にして、わずかに0.5%にしかならないのです。 さらに、配当は、業績が好調なときだけ行なわれます。だから確実なものではないのです。業績が悪化した場合は無配ということも考えられます。 次に、株式での配当を考えてみましょう。利益を現金で配当せずに資本金に組み入れ、株主には、株式を渡すことがあります。また、新株を無償交付することもあります。両方を合わせて無償増資といいます。 株主にとっては持株の数が増えてメリットのようですが、総発行株数が増えるわけですから、このあと株価が下がるので、プラスマイナスゼロなのです。 そういうわけで、配当にはほとんど魅力がないといわれているのです。 |
Q. | 株を売って得た利益には税金はかからないと聞きましたが? |
A. | 日本では、株のような有価証券を売った利益(キャピタルゲイン)は、'53(昭和28)年の税制改正以来、非課税となっていました。 これは、証券市場を育成するためと投資家の資産の動向を把握するのが技術的に困難だと判断されてきたためです。 しかし、最近の不公正税制是正への不満の声の高まりや諸外国からの批判もあり、'89年(昭和63年)の税制改正により、原則課税とされました。 税率は26%(国税20%、地方税6%)の申告分離課税、または売却益を売却金額の5%とみなして、売却金額の1%を分離課税とする方法が選択できます。 しかし、株式の売却益を把握するための納税者番号制度については以前からの反対意見が強く、導入されませんでした。ただし、この改正により売却した際にかかる有価証券取引税は引き下げられました。 |
Q. | よく話題になる「ナンピン買い」のテクニックについて教えてください。 |
A. | ナンピンを漢字で書くと難平。難、つまり損を平らにするという意味です。平らにするというより、むしろマイナスをプラスに転じようという作戦です。 株を買うときには、もうこれ以上は下がらない、と思って買うものですが、思惑に反して買ったあと下がることは往々にしてあるものです。 そういうケースで慌てて売ってしまっては、なんにもなりません。かならず上がる、とあなたが自信を持って買った株です。この下げを、むしろチャンスと思えばいいのです。ここで同じ銘柄を買い足すことによって、平均の購入価格を下げることができるのです。 具体的にいいますと、500円の株を1000株買ったところ、すぐに下がって400円になったとします。ここでまた1000株買うのです。当然2000株の平均買い値は、450円となり、最初の500円に戻したときに売っても利益が出ることになります。 この場合に限りませんが、十分余裕のある資力で投資を行なわなければ、さまざまな状況に対応できない、というのは、いうまでもありません。 また、売りの場合もこの方法が応用できます。上げの途中で分散して売ることで、リスクを減らしながら、さらに高く売り抜ける可能性を残すことができるのです。 |
Q. | 1銘柄だけでは不安です。どのくらいの銘柄数に投資をすればいいのでしょうか? |
A. | 初心者に多いのが、1000株や2000株の小口で、銘柄数ばかり増やすケースです。ほかの銘柄に目移りして、次々と増やしてしまうのです。信念を持てないタイプの人にありがちです。 リスクを分散させるために、複数の株を同時に運用することはよいのですが、本来の仕事をしながら管理できる銘柄の数には限度があります。せいぜい5、6銘柄といったところでしょう。 |
Q. | 株式欄には、かならず出来高が書かれていますが、出来高で何がわかるのですか? |
A. | 出来高とは、取引所のなかで売買された株式の数のことで、売りが1000株、買いが1000株の場合、出来高は1000株という計算をしています。 「出来高は相場のバイタリティーを表わし、株価はその影にすぎない」といわれるように、出来高の動向は、常に株価に先行しているものなのです。したがって、出来高の動きの意味を知ることができれば、相場の予測にとって有利なことは、いうまでもありません。 一般に、出来高は、株価が上昇傾向をたどっているときには増加し、下降または低迷しているときには減少するという習性がありますが、もう少し細かく見て、売買の指標に出来高の動きを利用する方法もあります。例をあげてみましょう。 長い低迷が続いたあとの、出来高を伴わない突飛な高値は、かならずしもそのまま株価が上昇するとは限りませんが、近く起こると思われる本格上昇の前触れとなる場合があります。 また、株価が上昇するとともに、着実に出来高が上昇している場合は、人気が増しているということであり、まだ上昇が続くと考えることができます。 |
Q. | 相場が下がっているときに儲ける方法はあるのですか? |
A. | 普通、株の売買は、上げ相場のときに安く買って高く売り、儲けを出すものです。このまったく逆もできることをご存じでしょうか。 下げ相場のときに、先に売って、下がってから買うと儲けが出るという理屈です。 信用取引制度を利用すれば、株を持っていなくてもこの方法がとれる、つまり、持っていない株を売ることができるのです。これを「空売り」といいます。 信用取引の場合、金を借りて株を買い、値上がりしたときにその株を売却し、その差額を儲けようとするのが普通です。それを、持っていない株を売って、どうすれば儲けが出るのでしょうか。 1000株の株価が200万円の銘柄が将来値を下げると予測したとしましょう。そこで、証券会社からこの株を借りてすぐ売るのです。そして、予測通り株価が下がり100万円になったときにこの株を買い戻して返済します。その差額の100万円が儲けになる、というわけです。(実際は、金利がこれにプラスされます) 自分の資金で始めた相場ならいつまでも待つことができますが、信用取引の場合、予想が当たっても外れても6ヵ月後には決済することが決められています。 それに、信用取引が成立すれば、売買代金の一定率の委託保証金を証券会社に預ける必要があります。まったく資金なしに取引ができるわけではないのです。 信用取引というのは、本来資金を十分に所有していない投資家にも、株式市場に参加の機会を与えるためのものですが、実際には投機性を強める結果となっています。初心者のうちは、自分の資金の範囲内で投資をすることをお勧めします。 |
Q. | 自分に合った銘柄を選ぶコツを教えてください。 |
A. | 「遠くのものは避けよ」という、古い相場の格言があります。証券マンに勧められたからとか、雑誌などの記事にあるとかでいいと思っても、自分にあまり縁がない業種を避け、自分の職業や関連のある業種、興味を持っている業種など、身近な業種を選んだ方が成功率が高いでしょう。 株を買う前には、その銘柄について綿密に調査や研究をするに越したことはありません。そんなときに、その業種について予備知識や関心があれば、有利なことはいうまでもありません。 そして、銘柄を選んだら、過去の値動きをじっくり調べ、買いのタイミングを待つことです。 どんな銘柄を選んだ場合も、株は安い値で買って高い値で売る、という鉄則に徹することは忘れないでください。つい目先の値動きに惑わされて飛びつくというケースが多いのです。 値動きにつられて買い、すぐに下がり初め、慌てて売る。結局、高い値で買って、安い値で売るということを初心者の大半はするものなのです。 |
<現代・経済&株式 キーワード集>
短期間に大きく変貌する現代経済。複雑な経済機構を把握するポイントはキーワードです。近頃巷を騒がしているキーワードは?
【インサイダー取引】
公表されていない企業の情報を利用した、有価証券の不公正取引のこと。M&A、配当の増減、新製品の企業化、売上高・利益予想の変更など、価格にすぐ反映されることを事前に、内部もしくはそれに精通する人間からの情報で得る。そして、価格が変動し始める前に株の売買を行うのだ。
インサイダー天国とまでいわれていた日本で、インサイダー取引がいかに不公正であるかを世に知らしめたのは、タテホ事件であろう。
1987年9月2日、兵庫県にあるタテホ化学工業(株)が、債券先物取引の失敗で、資本金の10倍(約286億円)もの負債を抱えたことが公表された。しかし、タテホが上場している大阪証券取引所では、その発表を前にして同社の株式が大量に売られていたのが発覚した。
調査の結果、そのとき株を売ったのはタテホの役員3人、大株主2人、それに取引銀行の1社と判明した。当然負債公表のことを知らない人間ではありえなかったが、大阪証券取引所の調査では、強制権限はなく、誰一人として告発された者はなかった。
タテホ事件を重く見た大蔵省は、1988年5月証券取引法を一部改正し、1989年4月より刑事罰まで定められた規制強化が実施されている。しかし、欧米諸国と比べると、その処置はまだまだ軽いといえるだろう。
インサイダー取引規制は「投資判断に重大な影響をあたえる事実を企業が一般投資家に周知徹底させる前に、会社関係者が株式の売買を行った場合は、刑罰を課せられる」「周知徹底するためには、公表は主要日刊新聞社、放送局、通信社などの2社以上に公開し、12時間経過すること」と、定められている。
そのため、証券取引所と産業界の合意にもとづいて、ファイリング(情報登録制度)というシステムも規制強化に合わせて導入された。企業が事実を公開しても、それが報道されなかったときの保険のようなもの。情報の内容を登録しておくことで、公開したことの証明にするのだ。
一方、金融機関も、インサイダー取引規制強化にチャイニーズ・ウォールと呼ばれる社内管理体制で対応した。万里の長城の意味だが、証券会社では、引受部門と営業部門との情報の壁にたとえられている。これにより、発表前の情報の安全を確保しようというわけだ。
投資家側から、企業の情報の早期公開を望む動きも見逃せない。アメリカでは1933年証券法、1934年証券取引所法によってディスクロージャー(情報の公開)が制度化されている。有価証券報告書・届出書、半期・臨時報告書などによる、投資判断に必要な情報の開示制度だ。一見、インサイダー取引規制と相反するようだが、公平な情報は投資家を保護するために必要なのである。
【自由金利】
大蔵省のスケジュールでは、1993年に完全な自由金利時代に入るという。
いままで親しんできた定額貯金や定期貯金は「規制金利商品」で、高利回りがうたい文句のワイド、ビッグ、公社債投信などは、長期プライムレートが変動しないと、利回りは変わらないのだ。
商品や株式などが、需要と供給のバランスで値段が変わるように、金利も需要と供給のバランスで毎日変動するという考え方が自由金利商品だ。
自由金利の時代になると、銀行、郵便局、信託銀行、証券会社、生命保険会社などから発売され、お互い金利とサービスで戦う、金融機関の戦国時代となる。すでに自由金利のアメリカからも、新商品が入ってくる。
もうすでに、いくつかの商品が発売されているのも紹介しよう。
証券会社から発売されている「商品ファンド」は、商品先物取引を投資信託のかたちで利用するファンドだ。商品先物市場は、株式市場に比べても激しく値段の変動があるため、超高利回りになる可能性を秘めている。すでに商品ファンドが浸透しているアメリカでは、年40%の物まであるそうだ。
現在発売されているものは、米ドル建ての海外ファンド。機関投資家向けの販売で、最低購入単位が100万ドルという、高額な設定だ。近く個人向けで、最低購入単位を引き下げたものも発売されるそうだ。
ほかにも、生命保険会社から発売される「一時払い有期型変額保険」や、お馴染みMMCの改良版「新型MMC」などが1990年秋には出そろう。
【M&A】
最近、日本企業がアメリカの会社を買収したというニュースを、よく耳にすることがある。たとえば、CBSレコードとコロンビア映画を買収したソニーなどがそうだ。
企業合併・買収の意味で使われているM&A。かつては「企業乗っ取り」というような悪いイメージで語られていたが、最近では企業戦術として欠かせないものとなってきて、常に新聞の経済面を賑わしている。一部上場企業のうち、3社に1社はM&Aを経験しているといわれている。
なぜ、こんなにM&Aが注目を集めているのだろうか。それには、リストラチャリング(企業再構築)という考え方が大きな要因となってくる。
リストラチャリングを行うには、企業内の不採算部門を切り捨て、新分野を開拓し、企業内を活性化させることだ。しかし新分野を手がけるには、資金が必要である。そのうえ、それらから収益を上げられるようなるには、時間も大幅にかかる。時間を節約しようと考えれば、他の企業をM&Aするのが一番効率的なのだ。
M&Aを行うには、相手の企業の株式を50%以上おさえて、大株主になる方法がある。
テイク・オーバー・ビッド(TOB)は、1971年7月の証券取引法改正で制度化された。テイク・オーバーは乗っ取り、ビッドは値付けの意味である。
企業経営権確保のため、相手の会社に対して、一定の期間内に通常時価を上回る価格で一定の株数を買い揃えることを公表し、証券市場外で買い集める「株式公開買い付け」だ。短期間で大量の株を集めることが可能だし、株価を異常に上げることもない。価格が高いと思ったときはビット(申出価格)変更できるし、株の提供が少なかった場合は、とりやめることもできる。しかし、実際にTOBを行った会社はまだわずかだ。
M&Aビジネスは世界的に盛んになりつつある。投資銀行、マーチャント・バンク、インベストメント・バンクなどがM&Aのコンサルタントと貸付業も行っている。
IBMのように持ち株会社を作り、異種企業の買収専門に動いているところもある。また、コングロマリット(複合企業)といわれる、M&A専門で会社を転がしながら大きくなっている会社もある。
ここで、話題になったM&Aを紹介してみよう。
1990年5月 電子部品(高密度プリント配線板)に定評あるアメリカのコールモーゲン社の研究・開発部門を買収した日立化成。
1990年7月 関西汽船に対する大阪商船三井船舶の資本参加。
1990年7月 イギリスのコンピュータメーカーICL社と富士通の買収合意。
そのほか、健康食品メーカーの日本シャクリーを買収した山之内製薬や、世界最大の宅配便会社DHLグループに資本参加した日本航空、日商岩井、西ドイツのルフトハンザ・ドイツ航空の3社。音響メーカーの山水電気がイギリスのコングロマリット(複合企業)のPPI(ポリー・ペック・インターナショナル)の資本傘下に入ったことなどである。
【キャピタルゲイン課税】
有価証券譲渡益(キャピタルゲイン)に対する課税措置。わが国では、少し前までは、株式などの有価証券を売って得た収益金に対して非課税であった。
証券市場育成のために優遇されていたということもあったが、実際に税務署の課税技術上の問題で、個人投資家のキャピタルゲインの実数までつかむことができなかったのだ。そこで、大口取引(年間の売買回数が30回以上かつ同一銘柄を12万株以上売買した場合)や、買い占めによって得た利益、また、事業譲渡に類似した譲渡益などをのぞき、原則的に非課税となっていたのだ。
しかし、欧米諸国では原則課税であるし、1988年よりマル優制度を廃止されたため、財テクの手段となっているキャピタルゲインが非課税なのは不公正だという声が高まり、1989年4月より課税対象となった。
現在、キャピタルゲイン課税には2種類の選択がある。年間の投資利益にたいし、国税20%、地方税6%を支払う「申告分離課税」と、売却代金の1%を支払う「源泉分離課税」である。損失が生じた場合は前者、利益がでた場合は後者が有利である。それぞれどちらを選択するかは、投資家の自由だ。
【ベンチャー・ビジネス】
既成の企業がやっていない、未開発分野に手を付ける、開発型の新興小規模企業。
専門知識で先端技術の粋をいく「研究開発型」と、人の考えが及ばないような商品を製品化する「すきま産業型」に分けられる。
ベンチャー・ビジネスへの融資は、危険性は高いが、成功すれば大きい「ハイリスク・ハイリターン」だ。そのため、資金調達が難しい。ベンチャー・ビジネス専門に融資を行っている「ベンチャー・キャピタル」もある意味では、ベンチャー・ビジネスであるといえよう。
【東西両ドイツ統一】
第2次世界大戦いらい、分裂していたドイツも、1989年、歴史に残るベルリンの壁崩壊から、統一ドイツに向かって前進しつづけている。
1990年7月1日、西ドイツのマルクに通貨統合。正式には「東西ドイツ通貨・経済・社会保障同盟創設に関する国家条約」が発効した。これによって東ドイツは、金融政策が東ドイツ国立銀行から西ドイツ連邦銀行に移管され、税制、公共料金など、すべて西ドイツなみになった。とりあえず、懸念されたインフレは起きていない。
また、通貨統合によってマルク圏は、人口を1600万人増やして7800万人になる。また、GNPが1兆700億マルクとなり、ECの4分の1を占める。
一挙に勢力を伸ばしたドイツにECがどう対応するかで、世界経済全体の流れが変わってしまうかもしれない。
1990年10月には、両ドイツ統一が行われた。
【カントリーリスク】
現在、発展途上国に対する直接投資活動を援助するため、多国籍企業が海外進出している。企業の海外投資や、海外進出、金融機関の融資貸付の際に予想される対象国の安定度、危険度、信用度が、カントリーリスクである。
相手国のカントリーリスクを総合してみて、危険の程度を検討してみるのだ。政権が不安定な場合や、累積債務問題などを含めたリスク・マネジメント(危険管理)の重要性が新たに認識されてきている。
事業自体のリスクではなく、個人や企業にとって不可抗力な事柄、戦争、革命、政変、暴動などが、最も大きなリスクであろう。また、政治経済情勢の変動による現地での事業継続困難や、利潤送金の制限、企業の国有化のおそれなども、企業にとって恐ろしいリスクだ。
これらのカントリーリスクに対して、国際的な保証システムがある。MIGA(国際投資保障機構)である。
【ファジー理論】
現在、電気製品などの分野で、盛んに使われているのがファジー(あいまい)だ。本来は、カリフォルニア大学のL.A.ザデー教授が1965年に提案した、不確かさを扱う数学理論である。
数学的な考え方には、「イエスかノーか」しかなかったが、ファジー理論は「どうやらこれらしい」という、極めて人間的な考え方と対応をする。人口知能分野に用いるソフトウエアの論理。未来型コンピュータの理想型である。
1988年、山一證券が株売買の新システムに取り入れて話題になった。
<株式用語入門>
新聞や雑誌でよく耳にする株式用語が、ゲームの中にも登場します。株式情報をより深く正確につかむには言葉を覚えるのが早道です。
(★印はゲームに出てくる用語です。)
【ア行】
・ | 青天井 青空のように天井がなく、株価の上昇が限りなく続くように思えること。 |
・ | あおる 市場人気を盛り上げるため、値段をつり上げるような買いかたをすること。投機家の手段のひとつ。 |
・ | 悪材料 相場が下がる原因。それぞれの銘柄にひびく減配・減資、業種にひびく製品価格の下落、相場全体にひびく公定歩合引き上げ、また信用取引の膨張や、投信の大量売り越しなどのこともある。 |
・ | アク抜け 悪材料がすべて出揃い、相場が底入れすること。 |
・ | 味付け 相場が低迷しているときに、景気をつけるためにいくつかの銘柄を買うこと。 |
・ | アナリスト 証券分析家。 |
・ | アヤ 長期的な相場の中での小さな変動。上げ基調のときに、一時的にちょっと下がるのが「アヤ押し」。下げ基調のときに、一時的にちょっと上がるのが「アヤ戻し」。 |
・ | 安価圏 価格が比較的安値に入った状態。 |
・ | 安定株主 会社の業績や一時的な変動に左右されずに、長期間株式を所有する株主。 |
・ | 委託手数料 顧客から受けた売買注文について、証券会社が徴収する手数料。売買の約定代金に応じて決める「従価率」方式で、大口の注文ほど割安になる。約定代金が20万円未満なら、一律1件2500円かかる。 |
・ | 委託保証金 信用取引を利用して株の売買を行う際、万一の危険を防ぐための担保として証券会社が顧客から預かる一定の保証金。証拠金ともいう。通常、株式約定値段の30%以上で、最低30万円が必要。 |
・ | 板寄せ ★ 価格優先で決める約定の方法。競争売買とも呼ばれ、立ち会いの寄り付きと引けに行われる。売買注文をボードに書くことから、こう呼ばれるようになった。 |
・ | いってこい 動いた株価が、もとの水準に戻ること。 |
・ | インカム・ゲイン 利子や配当による収入。 |
・ | 陰の極 これ以上は下がりそうにない株価水準。 |
・ | 生まれ値 新しく上場された銘柄が初めてつけた値段。 |
・ | 売り気配 売りばかりで買いがなく、値段がつかない状態。 |
・ | 上放れ 株価が今までになく大きく上がること。 |
・ | 大台 100円単位の株価の節目。いくら上昇気運でも、300円がなかなか越えられないというときは、300円がその株の大台となる。また、300円を突破したら「大台に乗せた」と表現される。10円台は小台、1000円台は大大台という。 |
・ | 大引け 前場・後場の立ち会いの最終取引。前場の大引けと断わらないかぎり、後場の大引けを指すことが多い。また、大引け値段のことを称して大引けともいう。 |
・ | 押し目(買い) ★ 上げ相場のとき、一時的に株価が小幅に下がったところ。このときに株を買うことを「押し目買い」という。 |
・ | 買い気配 売りは少ないのに、買い注文ばかりが殺到し、値段がつかない状態。 |
・ | 顔合わせ 株価が過去の最高あるいは最低の水準に並ぶこと。 |
・ | 関門 株価が上昇していっても伸び悩んだり、下降していっても下げ渋ったり、ある一定の水準がある場合の抵抗線のこと。これを突破すると、上回った場合が「関門を抜く」、下回った場合が「関門を割る」という。 |
・ | カラ売り 信用取引制度を利用して、規定の委託保証金をつめば証券会社から株借りて売ることができる。 |
・ | カラ買い 同じく、委託保証金を積めば、証券会社から資金を借りて株を買うことができる。 |
・ | 借り株残 信用取引で売ったままの未決済残株。 |
・ | 逆張り 人気に逆らって、大きく値を下げた株を買い、じっくり値が上がるのを待つ戦術。 |
・ | 恐怖相場 悪材料続出で、どこまで価格が下がるかわからない状況での相場。さらに事態が深刻になった相場は、恐慌相場と呼ばれる。 |
・ | 玉 未決済のままの約定。信用取引では、カラ売りしたままの株を「売り玉」カラ買いの株を「買い玉」という。 |
・ | 月曜ぼけ 休み明けの市場の不活発さをいう。 |
・ | 現引き 信用取引で買いつけている株式を、代金を払って買うこと。 |
・ | 現渡し 信用取引で売っている株式を、現物で渡すこと。 |
・ | 公募株 会社が増資を計るとき、株主や取引先、銀行などに新株の引受権をあたえず、一般の投資家を募集すること。その際、最近では少なくなったが、公募価格をディスカウントする場合もある。 |
・ | 小型株 資本金の比較的小さい会社の株。少ない流通資金でも価格を動かせるのが特徴。 |
・ | 指し値 ★ 売買したい価格を決めて注文を出すこと。 |
・ | ザラバ 寄り付けと引けの間に、売り方と買い方とも相互に相手方を見つけ、継続して売買を行うこと。混乱が生じてくると、板寄せが行われることもある。 |
・ | 塩漬け 将来の値上がりを期待して株を保有すること。 |
・ | 仕手(株) ★ 大口の売り方、買い方の相場士の意味。クロウトの対象になりやすい株のことを仕手株という。 |
・ | 指定銘柄 信用取引の売買単位、決済期日、売り方受け取り金利、決済手数料などで、一般銘柄とは異なった特別信用取引制度を利用できる。 |
・ | 証券会社 証券業を主な事業とする株式会社。証券業務は、自己の計算による有価証券の売買(ディーリング)。顧客の注文に基づく有価証券売買の媒介・取次ぎ(ブローカレイジ)。有価証券の引き受け・売り出し(アンダーライティング)。有価証券の募集・売り捌き(セリング)の4業務で、免許も業務別に発行される。これらすべての免許を取得して、資本金30億円以上の会社が、総合証券会社である。 |
・ | 上場株 証券取引所では投資家保護のために、取引所で売買してよいという基準(上場基準)を設けている。この基準を満たした株式が上場株であり、それなりに信頼がおける。 |
・ | 新甫 月替わりの発会の日に生まれる相場。しかし株式では、月の始めの1日が休日などで2日に月替わりしたときのみに使われる。 |
・ | 信用取引 証券会社が顧客を信用して行う売買取引。 |
・ | ストック・マインド 一般投資家の株式投資に対する意欲のこと。 |
・ | ストップ高(安) ★ 取引所では、市場の混乱を避けるため、1日の株価の変動を制限している。値幅制限ともいう。 |
・ | 政治銘柄 ★ ある株を占有している政治家が市場に流通している株を買い込んで、仕手株と同じように値段をつり上げること。 |
・ | 前場・後場 ★ 立ち会いの時間。前場が午前9時~11時。後場が午後1時~3時。 |
・ | 相場 一般的には、実際のものを取引せず、市場の高下によって行われる投機的な取引のことをいうが、その価格自体のことを指す場合も多い。 |
・ | 底 相場がこれ以上は下がらないというところまで安くなったところ。その状態を「底入れ」といい、その値段を「底値」という。 |
・ | ダウ 平均株価。ニューヨークのダウ・ジョーンズ社が1884年、日刊紙に平均株価を掲載したのが起こり。 |
・ | 大発会 年の始めの立会い日。 |
・ | 大納会 1年の最後の立会い日。 |
・ | 立ち会い 証券取引所の規定にもとづき、会員が集まって証券の売買を行うこと。 |
・ | 単位 取引所の中で売買される株式数の最小単位。 |
・ | チャート 株価の足取りを図式化したもの。期間の取り方で日足、週足、月足、年足などがある。チャートの表示法には、とめ足、ロウソク足、棒足、いかり足などの時系列罫線と、カギ足、新値三本足、P&Fなどの非時系列罫線がある。 |
・ | ちゃぶつく 思惑がはずれて次から次に損をしていく状態。 |
・ | ちょうちん 他人の手口をまねて売り買いすること。 |
・ | ディーラー 証券会社自身の勘定で有価証券売買を行う自己売買業者。 |
・ | 出来高 ★ 取引所の中で売買した株数。 |
・ | 手口 売り買いの注文の状況。 |
・ | 手じまい 先物取引や信用取引で反対売買して帳消しにすること。 |
・ | 天井 相場の最高値。 |
・ | 投げ 損を覚悟で売ること。 |
・ | 成り行き ★ 価格を指定せずに売買すること。 |
・ | ナンピン(難平) ★ 損を平均化すること。手持ちの株の値段が下がったとき、その銘柄を新たに買いたして買い値の平均を下げたり、信用取引でカラ売りしたあとに値上がりしたとき、売り乗せて売り値の平均を上げたりする。 |
・ | 値ごろ観 売買するのにころあいの値段だと判断すること。 |
・ | 乗り換え 手持ちの株を売って別の銘柄を買い替えること。6ヵ月の期限がきたときにいったん決済して、再び同じ銘柄を買ったりすることも乗り換えという。 |
・ | 配当 株主に対する利益の分配。現金配当と株式配当がある。 |
・ | 反発 相場が下がっているときに、一時的に盛り返すこと。 |
・ | 彼岸天井(底) 彼岸(春・秋)のころの相場の高値・安値。 |
・ | 引け(終値) 証券取引所での取引が終了するときについた値段のこと。 |
・ | 日計り 買った株をその日のうちに売却すること。 |
・ | ファンダメンタルス 企業の財務状態、市場の景気など、株式市場に影響をあたえる要因。 |
・ | 笛吹き 注文が殺到して、混乱を起こしそうなとき、笛を吹いて一時的に取引を中断すること。 |
・ | 踏み 信用取引で売った人が、その後相場が上がったため、損を覚悟で買い戻すこと。 |
・ | ブラック・マンデー 1987年10月19日の月曜日、ニューヨーク市場は、寄り付きから大量の売りに見舞われ、その日1日で、ニューヨークダウ508ドル、率にして22.6%の大暴落を演じた。1927年の大恐慌のきっかけとなったニューヨーク株式大暴落を上回る暴落ということで「暗黒の月曜日」と呼ばれるようになった。日本でもその影響を受けて、日経平均株価で3836円48銭、14.9%の記録的な下げとなった。 |
・ | ブローカー 顧客の注文を受けて有価証券の委託売買をする業者。 |
・ | プログラム・トレーディング 機関投資家がコンピュータを使って、相場変動時に自動的に売買注文を出すこと。 |
・ | ポートフォリオ もとは紙ばさみや書類カバンの意味だったが、転じて投資主体が保有する株式、債券など有価証券の一覧表を指すようになり、投資に伴うリスクを分散させるために考えられた分散投資を表す言葉となった。 |
・ | 銘柄 取引の対象となる有価証券の名称。 |
・ | 保ち合い 株価が上下、どちらにも動かない状態。 |
・ | もみあい 相場が小幅の上げ下げを繰り返す状態。 |
・ | 融資残 信用取引で買ったままの未決済残株。 |
・ | 寄り付き 証券取引所の立会いの最初。前場・後場にそれぞれ寄り付きがある。 |
・ | 雷同買い・雷同売り 自分では相場の見通しを持たず、市場全体の人気などに左右され、売買すること。 |
・ | 乱高下 相場が大きく変動し、荒れている状態。「乱調子」ともいう。 |
・ | 利食い 値上がりした株を売却して得られる利益。 |
・ | リストラクチャリング(企業再構築)株 M&A、企業変身などで、経営の再構築案を出した会社の株。 |
・ | 連想売り・連想買い ある銘柄になにか起こったとき、同じ種類の銘柄にもなにか起こると連想し、売買をすること。 |
・ | ろうばい売り 急に相場が下がり始め、あわてて前後の見さかいなく売り急ぐくと。 |
<山村美紗>
山村美紗
京都生まれ。京都府立大学国文科卒業。中学教師を経て、1974年長編作品「マラッカの海に消えた」(講談社文庫)でデビュー。
京都を舞台にしたミステリーで、若い女性読者を中心に幅広い支持を受けている。現代推理小説作家の第一人者。複雑な、意表をついたトリックが好評で「トリックの女王」といわれている。また作品の多くが映像化され、ファミコンのアドベンチャーゲームの原作者としても、定評を得ている。
「シンデレラの殺人銘柄」、「大阪国際空港殺人事件」ほか(講談社)、「京都清水坂殺人事件」、「京都二年坂殺人事件」ほか(徳間書店)、「京都絵馬堂殺人事件」ほか(光文社)、「京都東山殺人事件」、「女相続人連続殺人事件」ほか(角川書店)、「紫式部殺人事件」ほか(中央公論社)など著作は多数。
■ 取扱説明書の制作には、以下の書籍を参考、または引用させていただきました。(順不同)
「株式市場 資本主義の幻想」(倉澤資成/講談社現代新書)、「マンガ版 はじめての株の本」(石井勝利&さいとうはるき/アスカビジネス)、「始めての人の 株の売買便利事典」(橘鷲一郎/こう書房)、「もうかる株の売り方・買い方」(藤村計治/日東書院)、「イミダス1990」(集英社)、「儲かる株の実戦入門」(東山一平、寺西摩三男/現代書林)、「知恵蔵1990」(朝日新聞社)、「株式取引の話」、「株式用語辞典」、「インサイダー取引規制の総合解説」(日本経済新聞社)