<プロローグ>
時は革命と大戦前の帝国。
「子供のころ、ひどい嵐があってね。あたしの子守だったばあさんは『雪の中の悪い竜が、嫌がらせに暴れているから嵐になるんだよ』って、教えてくれた。それであたしは『そんな悪い竜はあたしが大きくなったらやっつけてやる』っていったんよ」
囚人服のよく似合う長身の女性は、ぼくの顔を見てそう言った。
「それで飛行機盗んでつかまったんだけどね。……あんた、こんな話聞いても笑わないんだね」
ぼくは意識していなかったが、よほど神妙な顔をしていたのだろう。
「まあいいや。こっから出て暇だったら、うちに遊びにおいで」
彼女はそう言って、門を出ていった。
刑務所にいた毎日のうち、もっとも寒い日だった。
それから……出所して、
飛行機会社をつくる資金のために
銀行強盗をして、国外逃亡するハメになってしまい、
伝説の巨大航空機『アリョール』に潜り込んだ二人。
二人を待ち受けることとは?
……無事に逃げられるのだろうか……
それは、
パズルを組んでいく、あなたの腕次第……なのです。
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