<プロローグ>
とある研究所で、1人の少年が過酷な実験に耐えていた。
10年前、少年の両親は、今この研究所で実験をしている博士らの仲間に殺されている。そして、無惨にもその恐ろしい光景を目の当たりにした、当時わずか4歳だったこの少年は、その瞬間すさまじいパワーを炸裂させ、あたりをめちゃくちゃに破壊したという。以来、その超能力パワーの秘密を解明するため、苦しい実験にさらされているのだ。
この少年こそ、物語の主人公すなわちあなた自身である。
その日は、より過酷な実験が行なわれた。そしてその結果、ついに少年のパワーの秘密が明らかにされたのだが……。
しかしその時、またしても少年のパワーが炸裂し、周囲を破壊したのである。
この世に、理想郷を実現しようとするイデア。
イデアは、愚かなる人類が滅亡しない限り、真の理想郷は実現されないと、「ノア計画」なるものを発動させた。
地球上で様々な異変が起こり、人々はもがき苦しんだ。
このまま人類は滅亡してしまうのか?
イデアとは、いったい何者なのか?
そして、恐るべき「ノア計画」とは……。
少年の宿命の旅が今、始まる。
<キャラクター紹介>
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カメキチ / 超能力者 特技:超能力
主人公。4歳の時、博士らによって両親を殺され、その怒りで超能力に目覚める。以来、このパワーの秘密を解明しようとする博士の実験にさらされていた。念火力、念冷力、念電力、念爆力など多くの特技を持つ。
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りんこ / 女子高生 特技:なし
学校では弓道部に所属している。カンが鋭く、隠し通路や隠し部屋などの発見が得意。優秀な姉に対して、ずっとコンプレックスを持っていた。 |
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ミコト / 霊能力者 特技:霊能力
一見イケイケ姉ちゃんタイプだが、霊力があり、故人の霊を呼び出すイタコ攻撃など霊力による特技を持つ。 |
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雷岩 / すもうとり 特技:なし
とにかく強い。彼の場合はこのひと言ですべてを表す。チャンコ鍋を食べると、見る見るうちに太り出すのだ。 |
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ジャド / ドロボウ 特技:なし
職業がドロボウだけに、鍵開けが得意。どんな鍵でも彼の手にかかったら、もう赤子同然という感じだ。 |
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Dr.ポー / 発明家 特技:発明
彼に電力を使わせたら世界一。どんな装置でも作ってしまう。アイテムの鑑定や敵能力の測定なども得意。 |
<敵キャラクター紹介>
このゲームでは、とてもおかしなキャラクターがいっぱい登場します。そのごく一部を紹介しましょう。
ハエ男 |
手をこすり合わせてコビを売られると攻撃できない。 |
アホドリ |
悪口による精神攻撃や、ヘンな踊りで特力を奪う。 |
ブランコ父さん |
ふぶきで凍結するのもヤダけど、ブランコの音もヤダ。 |
アニメ女 |
コスプレ少女が剣で攻撃してくるのだ。 |
ゲロオヤジ |
ゲロを吐かれると、特に女のコは精神的ショックで動けなくなる。 |
ヒトゾンビ |
こいつにズタボロにされると「ゾンビ」になって味方を攻撃してしまうのだ。 |
Mr.クイズ |
クイズに正解すれば景品獲得。でもはずれると…!!?? |
バブルオヤジ |
口から吐くアワがはじけちゃったら、もう大変。 |
ちくわ女 |
ふぶき攻撃をまともに受けると凍結しちゃうよ。 |
ダザイはん |
攻撃はしてこないけど、自殺の道連れにされないように気をつけて。 |
花ビラ娘 |
甘い香りで眠りを誘ったり、男性を骨抜きにするのだ。 |
てりゅうマン |
頭がピューンと飛ぶとその後爆発して大ダメージを受けるのだ! |
<デザイナーズノート>
プログラムの知識など皆無、、ましてやパソコンすら持っていない人間が、1本のコンピュータゲームのゲームデザインをやってしまうというのだから、まさに神をも恐れぬ暴挙といえよう。例えて言うなら、免許も持たない、レーシングゲームぐらいしかやったことのない人間が、いきなりF1に出場し、爆死するようなものだ(爆死しては困るのだが)。
思えば2年前、『サルまん』という作品で燃えつき、新宿都庁の見える公園でレゲエおじさんと化していた私に、「ゲームを作ってみないか?」と声をかけてくださったショウエイシステムの社長――地獄に仏とはまさにこのことであった。しかし逆に、向こうにしてみれば私は、まさに地獄からの使者でもあったわけだ。
今この原稿を書くにあたり、『イデアの日』の資料をひっくり返していたら、当初の開発スケジュールなるものが出てきた。それによると、’92年4月からとりかかり、その年の9月には私の作業はすべて完了するはずであったが、実際に作業が完了したのは’93年8月である。実に1年あまりも引っぱってしまったことになる。私があまりにも遅いため、私がシナリオを書き進める作業と、それを渡された分からプログラムしていく作業が同時進行で進められ(キャラクターデザインに関しても同じような状況になった)、さらにシナリオが完成したのはいいが、何せ断片的に渡していたために、全体を通してみたときに矛盾が生じている。加えて、これは本業のほうでもそうなのだが、「ここはこうしたほうがもっと面白くなる」というアイデアが、後から続々とわいてくる。それでシナリオを最初っから全面的に書き直すことになる。さらにそれはシナリオにとどまらず、システムやキャラデザイン、はては音楽にまで及んだ。後から後から「やはりこうしたい、こう変えたい、こうしたほうがより面白くなる」……、悲鳴を上げたのは開発スタッフ、ことにプログラマーであった。聞くところによると、徹夜でモニターと格闘しながら、ときにウトウトしては「相原、死ねー」と寝言を繰り返していたという。まったく最後の最後まで迷惑をかけとおしだったことを、この場を借りてお詫びし、かつ、そんな鬼のような仕打にも耐え、すばらしいゲームに仕上げてくださった開発スタッフの皆様に心からお礼を申し上げたい。
さて、この『イデアの日』を実際にプレイしてみて、相原コージが作った割には、思ったほどギャグっぽくないな、とお感じになる方もいるかもしれない。だいたい私はRPGのギャグで笑ったことはほとんどない。実はプレイヤーが当事者として物語に参加するRPGには、ギャグは不向きなんじゃないかとさえ感じているのだ。例えば、バナナの皮ですべって転ぶというギャグがある。これは第三者としてソイツを見ているから笑えるわけで、もしそれが当事者だったらどうか? バナナの皮ですべって転び、頭を打ってHPガクンと減りでもしたら、もうそれは笑うどころではなく、ただ腹が立つだけである。よってストーリー展開上、強引に見せるようなギャグはかなり抑えた。かわりに、ギャグはプレイヤー自身でつくってもらいたい、発見してもらいたい。そういうスタンスでこのゲームを作ったつもりだ。その時点での最強装備をさせるのも結構、感動的なシーンで泣くのも結構。だが、キャラクターをフンドシ一丁にして、こんな感動的なシーンなのになんちゅーバカなカッコしてるんだ、と笑い転げるのも、また一興と思う。
それぞれが独自の自由な遊び方をして楽しんでもらえれば、幸いです。
相原コージ
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